2006年06月03日

「テンプル騎士団とフリーメーソン」三交社 感想1

「レンヌ=ル=シャトーの謎」で有名なマイケル ベイジェント、リチャード リー。まさにゴールデン・コンビのこの二人による本です(笑顔)。
【目次】
第1部 ロバート・ブルース―ケルト精神の継承者
(戦闘修道士―テンプル騎士団逮捕と拷問 ほか)

第2部 スコットランドと隠された伝統
(スコットランドにおけるテンプル騎士団の遺産スコッツ・ガード ほか)

第3部 フリーメーソン団の起源
(最初のフリーメーソン ダンディー子爵をめぐる謎 ほか)

第4部 フリーメーソンとアメリカの独立
(アメリカ最初のフリーメーソン フリーメーソン指導者たちの登場 ほか)
この本は翻訳者の林 和彦様から、ご好意で頂きました(物欲しそう姿がばれたのでしょうか・・・苦笑)。どうも有り難うございます。

テンプル騎士団とフリーメイソン、両方とも実体と全体を把握しにくい共通点があるものの、テンプル騎士団は結構というかかなり大好きなのですが、フリーメイソンの方はいまいちの関心だったりします。少なくとも私が読んだフリーメイソンに関する本ってどうにも怪しいものが多く、結局何の団体なの?っていう疑念が頭から消えないんですよ~。

外国に長年行っていた知り会いの人いわく、「普通に友人の家族がフリーメイソンに入ってたよ~」と聞いても「う~ん」とうなることしかできませんでした。それにアメリカ建国関連でフリーメイソンというと、安易な私は映画で見た「ナショナル・トレジャー」の安っぽい謎解きしか浮ばず、ますます及び腰になってしまいます(オイオイ)。

漠然とした不安の中、「レンヌ=ル=シャトーの謎」で面白かった著者達への期待を頼りに読み出しました。相変わらず、厚い・・・。この分厚さが読破の壁でありつつ、面白い時はまさにいつまでも読んでいたい厚さなんですが・・・。

実は、まだ読了してません。残り150頁ぐらいですが、内容が多くて忘れてしまいそうなんで・・・とりあえず、現段階の感想メモを。

テンプル騎士団に関して、これまで私が読んできた本とは明らかに採り上げ方が違います。別にトンデモ系の扱いをしているとかではなく、歴史的に知られた事実と著者達が調べて見つけ出した(!)と思われる事柄を元に、テンプル騎士団に関して資料が示す行動を再構成していくのですが、それが非常に面白い♪

テンプル騎士団の活動中及び弾圧の過程についての本は何冊か読んだことがあるし、バラバラにされてヨハネ騎士団などに吸収合併されて跡形も無く消えた。そういう記述を何度も目にしています。

しかし、本書では軽く片付けられてしまうテンプル騎士団の最後を実に丹念に調べていきます。ヨーロッパ中からありとあらゆる支持と寄進を受け、十字軍においてあれだけの活躍をし、ラテン王国を建設した後、ありとあらゆる貿易や事業に関わり、世界初の金融システムなどを築いたまさに国際的な巨大組織。それがいかにフランス王とそれに影響された教皇の陰謀があったにせよ、社会から本当に消えてしまったのか?実際はどうだったのか?

この部分が実に面白い。著者達の資料に基づく見解では、実質的な意味でテンプル騎士団は、存続していたと主張します。そして、彼らがいかにしてその命脈を保ち、またそれを可能にする環境が時代的に有り得たのは・・・。


【以下、具体的に内容を書きます。小説ではないのでネタバレとか関係ありませんが、読む前に詳しい内容を知りたくない方は読まないように!!】 









あの、そうあのケルト由来のいにしえの地、『スコットランド』がキーになってきます。当時のスコットランドは教皇と間が険悪で国王が破門されていることまで知りませんでした。

教皇のテンプル騎士団への弾圧の命令が、これほどまでに届かない環境は確かに無かった思います。また、スコットランド側にも、豊富な軍事ノウハウトと武力を兼ね備えた存在を必要とする事情(当時は、スコットランド自体が内乱状態でイングランドからの侵略も受けていた)などの説明が実にうまい、いちいち頷けてしまうんだなあ~これが。

このへんは論より証拠でとにかく読んでみて欲しい。私もいろんな本で断片的に知っていることがちらほらと本書で出てくるのだが、それをジグソーパズルにはめ込むようにして綺麗に揃えられていくその過程だけでも、十分に面白いこと間違いなしです。いやあ、本当に職人技の素晴らしさです。

そして、著者達の主張するスコットランドに渡ったテンプル騎士団(の残党?)が、いかにして政治色がなく、あくまでも会員相互の友愛と相互扶助を唱えるようなフリーメイソンへと連なるのか? 

ここの説明もなんとも楽しい。フリーメイソンの元々の始まりと一般的に説明される石工の協同組合であるが、そもそも職業協同組合としての発生や性格については、中世以降の一般的な職業組合と似た側面を持つのも認めている(これについては、最近よく読む阿部 謹也氏の説明が実にぴったりとはまってきて感慨深い)。

その石工組合とは何をする人達のものか、彼らがいかにしてテンプル騎士団の流れを汲む人々と結び付いていくのか? 著者達の説明には、なかなか説得力あったりする。もっとも問題はそれを裏付ける文献資料がもっと必要なのは、言うまでもない。また、そこが一番難しいのではあるが・・・。

でもね、私にはとっても&とっても面白い♪

テンプル騎士団好きでこれまでの本の限界を感じていた人には、違った観点から考察している本書は、絶対にお薦め!! でも、本書の前にオーソドックスなテンプル騎士団の本とか読んでおいた方がいいだろうなあ~。ケルト的なことも知っていると更にいいし、カトリック教会の置かれていたシビアな歴史的情勢などもそう。とにかく知識があればあるほど、楽しめそう。

まあ、そんな知識がなくても著者達が説明してくれるので本書だけで十分に理解できるんだけど、それがどこまで真実なの?っていう点では、辛い。後で関心を持ったら他の本とかに当たるのもいいかも?

本当によく調べてあるし、冒頭の問題提起というか導入部分もなかなかうまい。さすがはBBC御用達のTV屋さんだなあ~と思わずにはいられません。日本のTV局にも是非見習って欲しいほどの企画力です(脱帽)。

まだまだ読んでる途中の段階だから、本当はレビューを書くべきではないかもしれないが、内容盛りだくさんでね。読んでいる間にもドンドン忘れていきそうなんで・・・。書いちゃいました(笑)。

さあ~て、続き&続きっと。

【補足】
読了しました。続きはこちらへ。

テンプル騎士団とフリーメーソン―アメリカ建国に到る西欧秘儀結社の知られざる系譜(amazonリンク)

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posted by alice-room at 22:40| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | 【書評 歴史A】 | 更新情報をチェックする
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Weblog: Favorites Lab.
Tracked: 2006-06-20 23:32
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