
説明は一通り全般に渡っており、バランスはいい。ざっと眺めてちょっと知りたいなら、悪くはないと思う。でもね・・・、読書を飽きさせないつくりは素晴らしいんだけど、個人的にはちょこちょこと不満が残ったりする。
現代では、もっと多面的な見方がされている歴史的事実をある一面からしか判断していない点があったりして、完全な意味での正統派で初心者向きの本かというと、それも違う感じがします。
(例:フリードリヒ2世のスルタンとの外交交渉による平和の獲得も、著者によると俗物故の成果になるが、近年では宗教的寛容の見本と類い稀な国際的な外交戦略の賜物という評価もあり、著者の説明はバランスを欠いている感じがする)
他にもいくつかあるんですが、う~ん本書の評価は微妙?
同じ著者が書いた「テンプル騎士団 」の方が、ずっとバランス良く感じるんですが・・・。但し、こちらは文字ばかりで眠くなる欠点があるので一長一短ですね。
あと、テンプル騎士団の採り上げ方も私的にはあまり好きじゃないかも? 個々の会則の内容よりも、テンプル騎士団が歴史の中で果たした役割やその滅亡の経緯。彼らが西欧中世に残したものなどの方がずっと面白いような気がする。そういった面白い部分への言及がほとんどない。本好きなら、こちらではなくて白水社の方をお薦めします。
でも、これじゃあ物足りないんだよね、やはり。
もうちょっと、正統派でお勉強したら、最近読んだ「テンプル騎士団とフリーメーソン」三交社 感想1、これもその後のテンプル騎士団で面白いんだけどね。まあ、どこまでが真実か、仮説が多いのでこれも正統派ではないんだけど、なんか面白いんだよなあ~。フリーメイソン以外の部分は。
知れば知るほど、謎と興味が湧くのがこのテンプル騎士団っていう奴ですね!納得。
【目次】
第1章 騎士団の成立
第2章 剣の人教会の人―騎士団の発展
第3章 聖地の防衛
第4章 破滅への道
第5章 テンプル騎士団の最期
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