
まあ、そんな事情はおいといて。アニメを観て感動や新鮮な驚愕をここんとこしばらく感じたことがなかっただけに、その時は物凄いインパクトだった!
どことなく漂う郷愁のような・・・少し前に失われた日本の原風景(NHKの「新日本紀行」にも近いものを感じる)のような・・・現在ではないが、ちょっと前の日本に非常に近しいものを感じる作品です。
私達が生きている生物界とは微妙に異なった進化故にこの地上で同時に存在するも我々には、ほとんど見えない存在である「蟲(むし)」。
その蟲を見ることができ、人々との生活との関わりの中での調和をもたらそうとする「蟲師」が主人公。
蟲師は放浪の旅人であり、ある種の呪い師などの存在に近い。かつて歴史にその名の残る「渡り巫女」や「修験者」などにもその存在が微妙に重なりつつ、かつての日本には本当に実在したのではないかと思えてしまうほどのこのリアルで濃密な作品の世界観に惹かれる。
アニメで心を惹かれつつもその後観る機会に恵まれなかったが、今回ようやく1巻から5巻までを読めて大満足♪ 今のところは7巻まで出ているようなのであと2巻も読むぞ~(ウキウキ)。
この作品を読んでいて何故か頭に浮んだのは漫画家のとり・みき氏。「くるくるくりん」も名作だが、氏の民俗系っぽい作品にその作風のある種の類似性、というか共通性を感じた。
もっとも似ていると言ってもこちらの「蟲師」の世界観の強固さと日本人ならきっとすんなりと受け入れられる土着性(虚構なのに・・・)は際立っている! 余計な修辞が不要なほど、まさに類を観ないほどの作品世界の存在感には圧倒されるものがある。
う~ん、私の言い方は適切な表現ではないかも? 凄いんだけど、決して欧米でよく観られるような自己主張型ではない。禅の止観只座ではないが、ただその場にあるだけで、その世界観に投げ込まれてしまっている感じさえするのが溜まらない。
民俗学とかに興味がある人には向いているかも? 漫画の陰陽師とかが好きな人にも合いそう。とにかく、世界中を探しても絶対に日本人にしか書けない価値観を共感できると思う。理屈ではない。近くの山に入ると道祖神があり、「山神」と書かれた石が立っていたり、田の隅に御幣が結界を張っている、そんな日本の姿は今でも山の中を歩くと頻繁に見る、そんな国でなければ、この作品は生まれなかったのでは?などと一人勝手に感動しながら読んでいた。
普通の漫画とは、明らかに異なる作風だが、それが支持されてアニメ化され、来年は映画にまでなるというこの国は、まだまだ好きでいられそうな気がした。
余談:
これって原作がアフタヌーンだったりする。確かアフタヌーンには「ディスコミュニケーション」も連載されていたっけ? こういう特殊系の作品が多い感じがするなあ~。滅多に買わないけどね。その割に漫画週刊誌を頻繁に買ってる私って・・・(自爆)。
あと、講談社って結構キワモノ好き?永野のりこのすごこま君もヤンマガに連載されていたような・・・。くっ、マニア向きのネタ過ぎるか・・・(苦笑)。
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