
古書と聖遺物。もう私好みのキーワードが二つも揃ったのでとりあえず買わないわけにはいかないっしょ!(苦笑)
ナインズ・ゲート的なものを期待していながら、さてさてどんな聖遺物が出てくるのだろうか?っと楽しみにしていたら・・・。まあ、期待しちゃいけなかったかもしれない。確かに街の古書店主よりは物知りかもしれないが、京極堂ほどは物を知らない古書店主が主人公。
古書の生き馬の目を抜くような知的で冷ややかなゾクゾク感もない。小市民的で良心的なところが、ちょっと物足りない。一応、元軍人という経歴もとってつけた程度。その店主と行動をともにする女性の研究家もう~ん、あまり頭がいいとは言えないタイプ。いささか上っ面なプライドだけ高くて研究室に勘違いしてよくいるタイプみたいであまり好感は持てない。
何故、こんなにも登場人物についてうだうだ言うかと申しますと、ストーリーが結構貧弱だったりする。だから、あくまでも小説として面白いかどうかでレビュー書こうかな?って。
ネタバレしない範囲でいうと、実はこれと類似のストーリーの小説を何かで読んでるんですよ、私。一番のポイントとなるネタがまさに同じ。でも、この本は初めてです~。たまに同じ本を読んでしまったりするから(自爆)。この本では出なかったけど、同じようなネタを扱った本だと、たいがいこれにフリーメイソンが絡むことになったりする。まあ、かえってそこまで行かないのがいいかもしれないけどね。
きっと分かる人には、この説明でだいたい想像がついてしまう、そんな感じのストーリーです。でも、読んでる時は、それなりに面白かったするからなあ~。普通の小説として読む分なら、決して外れではないです。楽しく読めると思う。ただ、それ以上を求めるといけません。
帯には出版社が売ろうとして、ダ・ヴィンチ・コードに絡むようなコピーまでつけてますが、ダ・ヴィンチ・コードよりもはるかに内容がないのだけは間違いないです。元天文学の学者さんが書いている割に、知的な好奇心という点ではそれほど刺激されません。というか全くね。
また、最後に期待していた聖遺物ですが・・・・。
【以下、若干のネタバレ含む】
というわけでこれ知っていても知らなくても、この小説としての面白さを味わうには関係ありませんが、イエス・キリストが架けられた聖十字架が聖遺物として出てきます。しかし&しかし、その説明が涙が出ちゃうほど、簡潔過ぎてつまらない。
もっともったいつけて、それにまつわる伝説とかを話すぐらいならいいんだけど、『黄金伝説』に書かれた十字架の話の方がはるかに面白いので困ってしまいます。ったく・・・! あえて十字架の聖遺物である必然性があるのか、疑います。旧教と新教の対立を描くにしても迫力不足に知識不足。もうちょいお勉強してからTRYしてみてね♪ってな感じでいささか悲しくなってしまう。
まあ、冒険譚としてもワクワク度が弱い。知的好奇心をくすぐるほどでもない。いい所ははあまりないんだけど、実に読み易い。まさに娯楽小説なんだろうなあ~。そういう意味では。
軽~い読み物としては、悪くないです。小説としてね。読んでる時は面白いんだけど、後で冷静になると、なんだかなあ~。もっと突っ込んで書いてくれれば、ずっと&ずっと面白くなるのに・・・な~んて思ったりもするんだけどね。
う~ん、物足りない。黄金伝説で素敵な聖遺物の話でもまた読むかな。
聖なる暗号(amazonリンク)
関連ブログ
「黄金伝説3」ヤコブス・デ・ウォラギネ著 人文書院
でも、期待しちゃうんですけどね・・・。