
改めみてみると、本書の著者って「シンボルコードの秘密」の人じゃん。う~ん、あちらもかなり胡散臭かったけど、本書はあちら以上に、ヤバイです。最初に著者達の主観があり、その主観に対して論拠となる仮説だけをいろんな文献や主張から取捨選択している観があります。結局、最終的な一歩を踏み外してしまったカンジですね(ニヤリ)。
一般的には支持されていない仮説(イエスはマグダラのマリアと結婚していて子供がいたとか、ペトロは本来イエスの正統的な後継者ではなく、イエスの説いた教えを歪めた存在等々)を前提にしたうえで更に信憑性が薄い仮説を屋上屋として重ねていってしまっている。
途中までは確かに仮説としてはよく挙げられており、可能性のある話であるが、それが段々と歪められ、あたかも通説かのように話していくのは、巧妙な論理のすり替えとも言えよう。意識していないとなんとなくもっともらしく説明され、こういった文献からもそれが明らか、などと言われると頷いてしまいそうになるが、文献自体の解釈に種々の議論があることに触れないのは・・・。まあ、ファンタジーとして読む分にはいいんでしょうけどね。あくまでもフィクションとしてね!
しかしなあ~、テンプル騎士団を出してきて最後の弾圧後の話なんですが、これって先日読んだ「テンプル騎士団とフリーメーソン」のスコットランド説をまんまパクッてるだけじゃん(オイオイ~)。
改めて、そういう視点で見てみると著者達のオリジナルティってほとんど見つける事はできません。この手の本をあらかた読んで要所要所を切り貼りしたいうのが実情でしょう。
よせばいいのに、黒い聖母のイアン・ベッグを慧眼の持ち主とか書いている。あの適当でどうしょうもない本の作者のことを! また、ひどいことにリン・ピクネット女史の説を普通の学説か何かのように引用するのは、ご勘弁を。そういったノリで本書の全編が貫かれています。
カタリ派から異端審問、聖骸布、ゴシック大聖堂、石工等々、この手のものにありがちなキーワードを片っ端から網羅していますが、その説明ははなはだ根拠に乏しく、どっかで聞いたような内容を書いたものでかなり薄っぺらいです。
後書きで訳者ご自身が書かれているようにダ・ヴィンチ・コード便乗本でしょう。オリジナリティがあるとも書かれていますが、そういう点は私には感じられませんでした。少しでもまともなことを知りたいと思われるなら、これ以外の本をまず読むことをお薦めします。
イエスの本来の教え(カトリックとは異なる教え)を伝える集団『レックス・デウス』があり、それが歴史の背景でひっそりとしかし確実に存在してきたというのは、典型的な陰謀史観でそれ自体は嫌いじゃないが、全てを他の著者による本から、採ったネタで構成されてもね。著者にはもう少し努力して欲しかったです。
頑張りましょうの一重○ってところでしょうか?花○の二重○にはまだまだほど遠いレベルでした。
【目次】
テプ・ツェピ―エジプト・グノーシスの起源
ユダヤ教のエジプト起源
出エジプトからバビロン捕囚まで
バビロン捕囚と神殿の再建
聖書のイスラエル、洗礼者ヨハネ、そしてイエス
義人ヤコブ、聖パウロ、そして神殿の破壊
キリスト教、ラビ的ユダヤ教、レクス・デウスの成立
暗黒時代と抑圧的教会
ヨーロッパにおけるレクス・デウス貴族制の台頭
テンプル騎士団
テンプル騎士団の信仰
虐殺と弾圧
異端審問
テンプル騎士団の終焉
残存者と復活
周知の「捏造」の再認証
ロンバルディアよりの先
ロスリンのセント・クレア家とフリーメイソンリーの設立
二一世紀の霊的覚醒
イエスの血統―レクス・デウスと秘められた世界史(amazonリンク)
関連ブログ
「シンボル・コードの秘密」ティム ウォレス=マーフィー 原書房
「テンプル騎士団とフリーメーソン」三交社 感想1
「黒い聖母崇拝の博物誌」イアン ベッグ 三交社社
でも、私の失敗も少しでも参考になるなら、ブログをやっている価値があるってことで私も嬉しいです(笑顔)。いい本探して読んでいこうっと。
本代が無駄にならなくて助かりました。
本当に感謝しています。
しばらく旅行中で、コメントへの返信が遅れて失礼致しました。
タイトルは、大変興味深くてそそられるのですが、私的には自腹を切って購入するほどではないかと思います。
少しでもうちのブログがお役に立てたのなら幸いです♪
コメント有り難うございました。