2011年05月29日

五百羅漢 増上寺秘蔵の仏画 幕末の絵師 狩野一信 in 江戸東京博物館

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五百羅漢 江戸東京博物館の公式サイト

劇団四季の予約を入れた後、何気に美術展とかを調べていたら、目に入ってきたのが五百羅漢の展覧会。

それは先週のことでした。江戸東京博物館もしばらく行ってなかったのでようやく土曜日に行ってきました。

あいにくの雨でしたが、お昼を食べて軽くお酒も飲んで、テンションはまあまあ。

いざ、五百羅漢へ。

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雨にもかかわらず、思ったよりは人がいたかな? でも、それほどごみごみとするわけでもゆっくりと一幅づつ、100幅の羅漢図をじっくりと見れたのはとっても良かった♪

とっても色彩が鮮やかだったりする。何よりも地獄絵図とか大好物の私には、今回の作品展はとっても見応えがありました。

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結構、始めてみる構図も多く、ふむふむと勉強になることも多い。もっとも、成田山新勝寺にある作品や東京国立博物館にもある五百羅漢図と同じ構図もたくさんあり、それが比較展示されていました。

キリスト教の黙示録の図像も、一箇所で生み出されるとそれが範となり、広く流布していくのをあちこちで見たり、読んだりしましたが、仏教も改めて一緒なんだなあ~と思いました。

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大蛇の口の中にいる羅漢さん、分かる?
これなんかもなかなか斬新な構図だと思うんだけど・・・。

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小さい画像で分からないでしょうけど、竜宮で接待されていて、その周りを蛸と蟹だったかな?たくさんの魚達などに囲まれていたりして、なんかユーモラスでもある。

ちょい若冲とかを思い出した。

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こちらは禽獣達と戯れている図。

他にもね、昔流行った怪人21面相よろしく、変装を剥がして本当の姿をさらすあの映像を彷彿とさせるような構図なんかもあったりする。顔を剥がして中から、観音様の姿を出している瞬間を捉えたものや、お腹の中を割って、中に観音様が鎮座していたり・・・。

もう、まさにファンタスティックな映像を見ているようです(笑顔)。

羅漢さんの姿・形も実に異形の者達だし、構図もかなり特異な印象を受けますが、いやあ~実に面白い。

伝統を踏まえたうえで(パクリで?)、そこにプラスαを加えていて、なんとも力強い。

曾我蕭白のレベルまでは、正直言っていなし、若冲のあの凄さにも達してはいませんが、十分に見る価値のある作品でしょう。個人的には地獄絵図、お薦めです♪ 

あと成田山新勝寺の大きな「釈迦文殊普賢四天王十大弟子」。この展示方法は、照明方法をかなり凝っていて時間とともに明るさと共に、照明の角度も変えてあり、それが実に効果的に機能しています。

基本は墨の濃淡で描かれているのですが、それぞれの像の光輪は、金箔が使われているようで何重にも重なった輪となっていて、それが光の強弱で見え方、印象が全然変わってくるのですが。

これは素晴らしいの一言です!!

あと簾がかかった浴室を描いた作品の脇には、後ろの展示室との仕切りをあえて簾にするなど、細かいところにも気を配った演出をしていました。なかなかにGJです(笑顔)。

しかし、痛いほど残念な点も。
大衆向けに分かり易い解説のつもりでしょうが、必要以上に大衆に媚びた解説があり、正直雰囲気台無しのような・・・?
「羅漢さん達の議論」を「朝まで生テレビのような・・・」とかいうコメントは不要でしょう。

他にも多々その手のくだらない表現が散見し、読むのがうんざりしました。
分かり易さは低俗さとは異なるし、不正確な表現もちらほら。

玄武は玄武だろうと思うのに、大きな亀って、それは別モノでしょ。玄武(大きな亀)とかなら、まだしも、一般人なめ過ぎ。

更にいうなら、実際の作品と展示は大変良かったので図録を買おうとして中身を見ていて唖然としました。図録の解説も、展示室のコメントと全く同じ。大きな亀、朝生って・・・オイ。

色見も正直、あまり良いとは思えなかったので購入を断念しました。解説は、個人的には大嫌いで最低ーと感じた。図録、手抜きじゃね?

もったいない。あとで芸術新潮でも買おうっと。あちらの方がなんぼかマシ。作品数が少ないのが残念だけどね。

芸術新潮 2011年 05月号 [雑誌](amazonリンク)


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posted by alice-room at 20:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 美術】 | 更新情報をチェックする
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