
基本はホラーでお色気もチラホラあり。もっとも奥瀬さんが描く現実は、実にリアル。現代日本の病んだ社会を独自の視点から、距離を置いて冷めた目で眺めているんですが、どこかその片隅に人としての優しさが歪んだ形でにじみ出るさまが実にイイ!
人間疎外なんて言葉が日常の生活の中で、普通に実感できてしまうだけでなく、弱い者が更に弱い者をいじめていく負のヒエラルキー。人間として最低の汚らしい部分を、貴方の周りに転がっている日常の中にさりげなく表現しています。嫌なんだけど、本当にあるから、目を背けられない。まともに悩むと鬱になる・・・そんな世界観がハマリます。
私はもともと奥瀬氏好きで一時期は出版されていた全巻収集していたはず。まだどこかに残ってるかなあ~。数年前にOVA化されてTUTAYAで借りてみた記憶があるが、アニメは失敗でした。独自の世界観を表現できずにいたので、それ以降アニメは観ていません。
漫画にもなっていたんですね、実は知らなかったりする。奥瀬さん、マイナー路線だし、社会で受け入れられるタイプの作品でなかったもんなあ~。賊交やリストカッター、ヒッキー御用達の世界観でアングラの匂いを漂わせた作風ですから・・・オイオイ。でも、身の回りにいるんだよね、こういう人達。
個人的には60年代の左翼崩れの人が書いていそうな感じさえするが、この人の場合はそうではないらしい。まあ、どっちでもいいんだけどさ。
自分は精神的に病んでいると思う方、きっと興味を持って読めるでしょう。ノーマルの方、読んでも自分が辛くなるだけです。自分の許容範囲を超えない程度に本は選んで読みましょう♪
ある程度、精神的にキテル方。
本作品は、まだまだ甘ちゃんの部類です。「低俗霊狩り」をお薦めします。こっちの方が毒もあり、華もあり、私は大好きだったりする。でも、人には薦めたことないし、薦められない本だね。こりゃ。
でもね、こういう本ってえてして思春期の少年少女が好んで読んだりするんだよね。止めときゃいいのに・・・ネ。読んでも精神歪ませないように願ってます。こういう作品に波長が合ってしまう自分が怖いけど・・・。
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