2006年07月21日

「暗河 21」1978年冬 葦書房

1978年に出て聞いたこともないタイトルの雑誌を買ったのには、訳がある。そこに「資料 同時代から見た夢野久作」の文字を見たからだった。

また、ここには夢野久作が書いて出版社に売り込んでいた幻の長編小説『ゴーヂャン・ノット倶楽部』というものが載っている。どうやら原稿の方は、戦火で焼けてしまって完全なものは残っていないらしい。この雑誌にも載っているのは、本当に&本当にさわりの部分だけしかない。つくづく惜しいものだ。

そうそう、その作品が出版に至らなかったのも、出版社の評価は良いが、時勢柄出版は難しいという事だったそうで、内容にはますます興味が湧く。

ご興味ある方は、国会図書館とかにでも行けばあるだろうから、探してみて下さい。そういえば、検索システムあったもんね。

あと、この雑誌にはそれ以外にも夢野久作がまだまだ若い盛りに亡くなった際に、彼の死に対して寄せられた文章が集められている。1936年のまさに当時、彼の周りにいた人々が彼に対して抱いて気持ちが分かって大変興味深い。人によっては、ずいぶん異なる評価や思いがあることを改めて認識させられる。

私が抱いていたイメージもずいぶんと違ったのも事実であるが、なかなか資料的にも面白いと思う。現在のまさに伝説ともなった、あの「夢野久作」とは異なるもう一つの久作がいたことを感じた。

改めて夢野久作の作品を全て読み直してみたくなった。

そして、私の脳裏をよぎったのは・・・とある古書店で見つけた「ドグラ・マグラ」の初版本。私が学生の頃だから、そこそこ前なのだけど当時70万円の値が付けられていた。あの当時は、株で儲けた分もあり、マジに買いたいと真剣に悩んだ覚えがある。まあ、それにしても高くて結局は買えないのだけれど・・・。しかし、しかし、やっぱり欲しかった!

今でもどんな本を読んでも「ドグラ・マグラ」以上の作品にはあったことがないし、あれだけのものが書けたらいつ死んでも本望と若い頃は思っていたことを思い出した。今は未練があるから、死んでもいいとまでは思えないが、でも、やっぱり、凄いよなあ~と心から思う。

2日か3日か部屋にこもってひたすら本を読んでいたことを思い出した。

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「図説 地獄絵を読む」澁澤龍彦、宮次男 河出書房
posted by alice-room at 00:05| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 小説A】 | 更新情報をチェックする
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