
私自身は、観る前からあまり知識がばかりが先行している頭でっかちな絵の見方って嫌いなんですが、一度本物を観てその段階での自分の印象を大事にしたうえで、更にその対象物について調べて再度本物を見直してみる。こういうやり方が大好きだったりする。
旅行に行った時でも美術館や建築物は気に入ると2、3回行っちゃうもんね。一度目はあまり知識を入れずに率直に感動し、その晩感動を胸いっぱいにして関連する本を読んでから、また翌日に行く。アルハンブラ宮殿やウフィッツィ、ブラド博物館、テート・ギャラリー等々、みんな二度以上通ったから、記憶力のない私でも鮮明に記憶に焼きついてます。
この本は、まさにその二度目に見る時に素晴らしい名画を隅から隅までしゃぶり尽くそうとする楽しみ方にはうってつけかもしれません。専門家ではない以上、素人の私の見方には当然限界があり、そこに描かれた主題さえも十分に理解できていないことも多々ありますが、こういう本があるととても心強いですね。
ただ、読んでから見るのは私個人としてはお薦めしません。まずは自分の目で見てからでないと、絶対に事前に入れた知識によって絵の見方にバイアスがかかってしまいそうだから・・・。少なくとも私の場合はね。
それさえ分かっていれば、どんなものにせよ「知識」は自分の体験を強化し、より深く掘り下げることのできる貴重な武器になると思います。実際に、この本を読んで今更ながらに、あの絵ってそういう意味があったんだあ~と気付いているしょうもない私。
入門書としては、確かにいい本かも。でもね、個人的にはこの本のポイントはそれほど高くないです。単純に好みの問題なんですが、取り上げられている絵がねぇ~。あまり私の好みじゃなかったりする。ラファエロ以外だと、感動にうちふるえて、その絵の前に延々と立ち尽くしたり、見ているうちに胸が熱くなってくるようなことはなかったもの。
採り上げられている絵は、結構本物観たことあるけど、個人的にはちょっとね。まあ、人それぞれですけど。
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