最近は、こういうオーソドックス且つ緻密に構成された作品でしかも、怪談の本質とする日常のとある一瞬、理性のタガがはずれていく感覚を有したものが少ないだけになんともイイです。
夏の夜中にこっそり読むのにはうってつけです。怪談系お好きな方、是非どうぞ!
舞台は昭和初期、戦中の吉原。独自のしきたりと独自の法体系を有する一個の自治組織を持つこの空間で、盲目の元検事朱雀が煮ても焼いてもくえない個性とたぐいまれなる鋭敏な頭脳で謎を解明していく。
吉原にある弁財天にまつわる不可思議な神隠し伝説が人の消えていく事件に重なっていく。理由もないままに次々と消えていく人々と夢かうつつか判別できない出来事の頻発。そして、そこに残されたひときわ高く聞こえる狐の鳴き声。まさに怪談でしょう・・・。
良くも悪くもオーソドックスなのだが、それがいい意味で基本に忠実で完成度が高いので安心して楽しめます。元ネタも基本を押えていますが、その料理の仕方が実にイイ。美味しく頂けるかと思います(笑顔)。
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面白かったですね。舞台が戦前の焦臭い時代って言うのがよかったですね
この濃密な感覚がなんとも生々しく、禍々しくてたまりませんね。