2011年09月18日

「結婚難民」佐藤留美 小学館

いかにももっともらしい理屈を並べて、『婚活』とか用語を作って社会を煽って、小銭を稼ぐタイプの本等に比べると、基本、かなり良心的で偏らずに現在の社会について、語っている感じがします。

極端な例とは言わないものの、どうしても一般的、というか平均的な姿を描くのは困難な為、本書も幾つかの例を挙げて、説明しています。

確かにいそうだし、それに近いような(よりディープな)実話も幾つも知っているので否定はしませんが、でも、それが一般的でないことも事実です。

金やブランド等、目に見えるモノにしか関心のないどうしょうもない女性もいますが、異性をうっとおしいだけで仕事の邪魔と言い切ったり、欲望の対象メインとしてしか認識しようとしない、どっかおかしい男性もいるからね。

男尊女卑を心底支持している奴も表面に出さないだけでいるからね、本当に。

まあ、私も異性に幻想を持ってた頃もあったので人の事言えませんが、自分が話をして本当に分かってもらえると思える友人は同姓・異性を問わず、正直なかなかいなかったしね。理解してもらおう、なんて随分前に諦めた覚えがあるなあ~。

割り切って、違う価値観は価値観でいいと思うけど、最低限度の教養レベルでさえ、話が合わないと辛いのも事実。

別に仕事の愚痴を話したいとも思わないけど、どんな仕事をしてるか話した時に、およそ常識レベルで理解できない人も辛いよね。仕事のジャンルは違えども、普遍的な要素は何でもあるし、そこを共感できない人も続かないでしょう。たぶん。

本書もそうですが、他の婚活関係もこの辺のオーソドックスな基本部分は、もう話題にも上がらないようです。ある意味、話が合う合わないというのは、結婚等でも一番大切なように思われますが、そんなこと書いても本、売れませんからね!

どうしてもそれ以外の男女を取り巻く社会環境の変化や、意識の変化などに注目していかざるを得ないのでしょう。

食っていけることさえ確保できれば、後は一緒にいて嬉しい人。話が出来る人だと思うんだけどね。

本読まない人とは、たぶん、一緒にいられないよなあ~。ギュスターブ・モローを知らない人ともたぶん駄目だろうし、ミュージカルとか一緒に観ても興味無ければ、それも無理か。さすがに装飾写本とかそちらまでは求めませんが・・・。どんなレアな興味?

思いっきり、相手がいなさそうな私(苦笑)。

もっとも、興味や関心が全く違っても、しっかりと語るぐらいのものを持っている人とかだと割合、どうでもいいんだよね。その人の話を聞くのも、全く知らない世界でも面白いし、その手の人は、逆の立場でもうまく話し合えて、どっかしら共通点とか相違点を話しあえて有意義な会話ができたりする。

一番困るのは、本当に何も語るべきものが無い人は合わないから辛いなあ~。
旅行でもいいんだけど、自分で考えて旅をしている人と受身で旅をしている人では、また全く違うからなあ~。

本書の内容に戻ると・・・
私が書いた当たり前の条件以前に、結婚とかの前に人として駄目じゃない?と思われる人達が多々紹介されています。ブランダ物買い漁ったり、家庭の掃除・洗濯等の維持さえできない人とか。ゴミ屋敷になっちゃう・・・。

そりゃ、人として駄目でもあくまでも個人で周囲に迷惑をかけなければ自己責任で許されるのでしょうが、人として駄目な人がそもそも他人である人と結婚して共同生活を送ろうとすること自体が、許されべきでない間違いではないかと思いました。

結婚して離婚した人もたくさん知っているし、分かれた後、外国の女性と付き合ったりする人も何人か知っているので、正直結婚するリスクの大きさもあるように思えてなりません。

一緒にいるのって、やはり好きな人であっても大変だと思いますしね。
まして、好きではない、話も合わない人といるのは人生の浪費でしょう。

本書で紹介されてる例は、うまくいった例もそうでない例も含めて、個人的には『無理』ですね。自分的にはマイナスにしか評価できないので、間違ってもこの例で結婚したくはないなあ~。

まあ、そんなこと言ってるから、まだ独身なんでしょうけど(苦笑)。人との出会いの場を広げるのは良い事だと思いますが、無理しても破綻した実例の方が教訓になってしまいますね。困ったものです。

世界や世間とは広く接したいところですが、人生を浪費したいとはつゆとも思わない私でした。そういうのを再確認する意味では価値があったかもしれません、本書も。
【目次】
はじめに 3
第1章 僕たちはやっぱり結婚したい 15
どうして結婚しないの?
〈実例1〉図書館で恋愛本を読破する派遣コールセンター男
〈実例2〉正社員じゃないから、7年付き合った彼女とも結婚は無理
自分に「ワーキングプア」のレッテルを貼る
〈実例3〉アラサー女の無神経に傷つけられる団塊ジュニア男
〈実例4〉携帯メールの即レス要求にウンザリ
〈実例5〉年収1億円なのに来るのはセレブ狙いの薄っぺら女だけ
女性不信に陥ってしまう原因は女にある!?

第2章 結婚してはいけない13の女 39
「壊れかけの女」にご用心
1 家賃より高い靴に散財する「ルブタン女」
2 骨と皮でもまだ痩せたい「絶食女」
3 セレブのエコ生活に心酔する「超エコ女」
4 行く末は新興宗教一直線?「スピリチュアル女」
5 男の生気を吸い取る「クーガー女」
6 性さえもファッション?「『Lの世界』女」
7 下手をすれば殺される!?「デートDV女」
8 笑いながら手首を切る「リスカ女」
9 朝から晩までネット三昧「ギーク女」
10 変身願望が止まらない「週末激変女」
11 将来の介護は期待できそうにない「通い婚女」
12 完璧主義が止まらない「プチ整形女」
13 関心事は子どもの成長より自分の成長「スキルアップ女」
「結婚してはいけない女」の見分け方
「結婚してはいけない女」は少数派
「結婚してはいけない女」が壊れてしまったワケ

第3章 ロスジェネ男が結婚しないこれだけの理由 99
四面楚歌のロスジェネ独身男
〈批判その1〉「責任感がないから結婚しない」
〈反論〉非正社員の多くは年収200万円のワーキングプア
〈反論〉3割のロスジェネ男が「結婚の障害がある」
〈反論〉「一生結婚するつもりはない」ロスジェネ男が増加する背景
〈反論〉正社員も辛い
〈反論〉管理職に上がれるロスジェネ世代はたったの3割?
〈反論〉親世代も貧困化し、パラサイトできない
〈批判その2〉「最近の男たちは女を口説かない」
〈反論〉「告白すること自体ありえない」と突き放された
〈反論〉恋愛市場から降りたロスジェネ男
〈反論〉二次元の世界にのめり込むのは深刻な「女性嫌悪」が理由
〈反論〉デートするカネもないから「口説けない」
〈反論〉残業漬けでデートするヒマもない
〈反論〉ワーク・ライフ・バランスの導入でも報われないロスジェネ正社員
〈批判その3〉「モテないくせに妥協しない」
〈反論〉「モテない男」は究極のロマンチスト
〈反論〉いいものを見過ぎて身近なところじゃ手を打てない

第4章 ロスジェネ女はこんなに質素で堅実 137
結婚難を招くロスジェネ男の思い込み
「女はカネで男を選ぶ」という誤解
求めるのは「収入」より「やさしさ」
意外と質素なロスジェネ女
ロスジェネ女が望む年収は?
節約上手なロスジェネ主婦
経済力より生活力を評価
「稼ぎのいい仕事」より「人の役に立つ仕事」
イケメンを求める女は少数派
「面白い人」より「話を聞いてくれる人」

第5章 男たちよ自信を持て!
みんなやっぱり結婚したい
父親の価値観に引きずられない
「結婚=女房・子供を食わす」という思い込みを捨てる
「女性とどう接したらいいか分からない」人は風俗を賢く利用する
「今までモテない=今後もモテない」ではない
別世界で「モテる男」として生まれ変わる
最愛の人が失恋するのを待つのも手
ラベル:書評 社会 結婚
posted by alice-room at 22:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 未分類B】 | 更新情報をチェックする
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