まあ、そんなお堅い話はさておき、本書はその売春防止法の施工直前の時代に赤線として有名であった『玉ノ井』の女性達を描いている。今も昔のこの手の話に変わりはありません。
封建的な男尊女卑に対抗して女性の性的自立と自由を求める・・・とかしょうもない権利・主義主張などもなく、格別、悲惨でもない淡々と生きている人間が描かれている。
何も考えずに、日々生きているだけの人もいれば、計算高く生き抜いている人もいたり、いろんな生き方が人それぞれあるわけだが、それもまた人生。「良き哉(かな)、良き哉(かな)」とか思ってしまいます。本能的な欲望である性がテーマになっている分だけ、人間らしさが生々しく描かれているかも?
実はこの手の本もだいぶ読んでいて、一応子供時代から、早熟で耳年増傾向の強かった私には、特に目新しいものでもないのですが、時代的な情緒はあるかもしれません。
でも、やっぱり玉ノ井というと永井荷風の「墨東綺譚」なんだけどね。あれは名作でしょう♪ 映画も余韻があって結構好き。残念ながら、本書は比べ物になりません。これも悪くはないんだけどね。役不足ってところでしょうか。
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