2006年09月05日

暗号解読を解読する 『ダ・ヴィンチ・コードの謎を解く』

http://book.asahi.com/trendwatch/TKY200609040225.html
今年5月、『ダ・ヴィンチ・コード』(ダン・ブラウン著 越前敏弥訳/角川書店)が単行本上下巻、文庫の上中下巻累計で1000万部突破というニュースが発表された。

 ベストセラーが生まれれば、複数の類書・関連書が生まれるのもまた常である。『ダ・ヴィンチ・コード』もしかり。多くの解説本や謎本の中でも、今年4月に発行された『ダ・ヴィンチ・コードの謎を解く』(サイモン・コックス著 東本貢司訳/PHP研究所)は最も売れているタイトルである。そして紙の本が全国の書店でランキング入りしている7月、本作品は電子書籍版も発売された。

 ベストセラーが紙の書籍の発行から時間を置かずに電子書籍化されるのは、今年春から盛んになってはきているが、そこに「翻訳書」という要素が加わるコンテンツに関しては、デジタル読書の世界でも過去に例がなかった。

 洋の東西を問わず、電子書籍を含めて書籍をデジタル化するには、著作権者の許諾が必要だ。日本国内の作品でも、許諾を得られないために電子書籍化されないものは圧倒的に多い。まして翻訳書となれば、その壁はさらに高い。米国本国では原本『The Davinci Code』は発売まもなく電子書籍化され、2004年度の年間ベストセラーで1位を独走、2005年度も2位の座を守っている。では日本でも翻訳書が電子書籍化されるかというと、そうはならない。書籍化とデジタル化と全くは別の権利契約だ。

 そして世界的な大ベストセラーの日本語訳に関して、業界の先陣を切る形でPHP研究所は本書の電子書籍化の権利を交渉を重ねたの末に獲得したのだ。

 タイトル通り、本作品は『ダ・ヴィンチ・コード』を読むにあたって、ストーリーをより理解するために必要な事実要素や歴史的な背景などを解説するものだ。いわば暗号解読本の解読本。注釈色を強く出して、アルファベット順に構成されている。本編(この場合、角川文庫版)で何ページにそれが出てくるのかまで併記するなど、親切な作りだ。本編と併読すればより楽しめるだろう。もちろん歴史や美術への知的欲求を大いに刺激する、完成されたひとつの作品としても成り立っている。

 デジタル読書では目次にリンクが仕込んであったり、あるいはしおり機能を活用するなどして、特定のページに1クリックで飛ぶことが可能だ。本編を読みながら確認したい事項をすぐに調べることができる。デジタルのメリットのひとつ、検索性のよさが非常に引き出せているコンテンツ。発売から2カ月、売れ行きは順調だ。

 翻訳書の電子書籍化にはまだまだ壁がある。作者や原本の出版社によっても温度差があるのは米国でも同じだが、成功事例をひとつずつ積み上げていくことが、課題解決への糸口になるはずだ。はじめの一歩。しかし大きな一歩になることを期待したい。
あっ、な~んだ勘違いしちゃいました。ダ・ヴィンチ・コードの電子書籍化ではなく、その便乗本(失礼!)の解読本の方でした。電子書籍もかさばらなくていいんだけど、本の方が読み易いし、好きなんだけどなあ~。

関連ブログ
http://library666.seesaa.net/article/2372652.html
posted by alice-room at 00:29| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 【ダ・ヴィンチ・コードC】 | 更新情報をチェックする
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