2011年11月16日

「中世の芸術家たち」アンドリュー・マーティンデイル 思索社

本書は元々、大分の本「中世の開花」の一部だけを訳出したものであり、分量、内容共にそれほど深いものではない。さらっと読み飛ばせてしまう程度の本である。

内容も当時は、芸術家が職人から分化する以前であくまでも職人階層の中での上位と下位の別であったことを述べている。まあ、誰でも知っている話です。

しかしながら、職人は職人でも石工はまったく別格であり、建築家として、巨大な大聖堂を設計し、多大な栄誉と報酬を受けていた石工は、特別な地位を占めることが制度として認められていた。

絵師の場合、どんなに優れていても絵師そのものは職人の域を出ず、石工と擬制されて認められたり、宮中では、王様の側近として、評価されるに留まったらしい。

装飾写本でお馴染みのランブ-ル兄弟とか、他にもいろいろと私の好きな写本の話も出てくるのですが、正直物足りないし、浅い。

箇条書きでダラダラ書いているものの、深い洞察や考察などは全くありません。読むのは時間の無駄でしょうね。挿絵もあるのですが・・・まあ、早くNYのモーガン・ライブラリーに行きたい!と思うぐらいで、他に思うこともありませんでした。

ここの出版社が出している中世シリーズって外ればかりですね。「中世の女たち」とかも駄目だったし、もっと価値のある作品の翻訳や出版を期待したいところです。もう、つぶれてしまったかもしれませんが?

ちょっとぐぐったら、案の定倒産したようで、次の会社に引き継がれているようですね。
【目次】
第1章 都市の芸術家
第2章 宮廷の芸術家
第3章 修道院の芸術家
第4章 建築家
第5章 芸術家とルネサンス
第6章 補遺

文献解題
水星の下に生まれて
訳者あとがき

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posted by alice-room at 17:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 美術】 | 更新情報をチェックする
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