2005年03月12日

「レンヌ=ル=シャトーの謎」 柏書房 感想1

『レンヌ=ル=シャトーの謎』 -イエスの血脈と聖杯伝説- 柏書房のサイト
レンヌの謎:ここが一番詳しい説明されてるサイト
【 本の目次 】
第1部 謎
 第1章 謎の村
 第2章 カタリ派と大異端
 第3章 戦闘修道僧
 第4章 秘密文書
第2部 秘密結社
 第5章 舞台裏の騎士団
 第6章 総長と地下水脈
 第7章 何世紀にもわたる陰謀
 第8章 今日の秘密結社
 第9章 長髪王
 第10章 追放された1族
第3部 血筋
 第11章 聖杯
 第12章 統治しない祭司王
 第13章 教会が禁じた秘密
 第14章 聖杯の王朝
 第15章 結論と未来の予兆
補遺 プリウレ・ド・シオン団の総長

「ダ・ヴィンチ・コード」、「天使と悪魔」、「レックス=ムンディー」、「薔薇の名前」と読んできた流れの中で、ダ・ヴィンチ・コードの元ネタであり、是非読んでおきたいと思ったものが、まさにこの本でした。

値段の高さと分量がその願いを押しとどめていましたが、ようやく手に入れて読むことができて感激! しかも読んでみて、更に大感激!! 値段以上の価値のある本でした。買って正解でした(満面の笑み)。つまんなかったら図書館で借りれば良かったかと後悔するところでした。と、前置きはこの辺にして。

この本の主題は、フランスのレンヌ=ル=シャトーと呼ばれる地域で若き僧侶ソニエールが廃墟となった教会の柱から四枚の羊皮紙を見つけ出し、その後、湯水のようにお金を使う生活をするようになったという出来事の不自然さ・不可解さから始まる。そして、それが最終的には、キリスト教の根幹に関わるイエスの血脈が現代にまで存続し、あまつさえ過去の歴史上にその足跡を残しているという内容(仮説)につながっていく。

私のように「ダ・ヴィンチ・コード」から流れてきた人には、あちらの方が単純明快で分かり易いが、端的に言ってしまうとイエスは結婚していてマグダラのマリアがイエスの配偶者であり、その子孫がメロヴィング朝で王位に就いた。その後の十字軍遠征によるエルサレム攻略もイエスの子孫によるものであり、テンプル騎士団はその命を受け、最前線を担っていた。また、時代の背後にはシオン修道会なる秘密結社が存在し、現在に至るまでイエスの血脈に関する秘密を握っていると考えられる。
――― 以上のような仮説が、各種資料や情報に基づいて提示されている。勿論、現在の歴史学では、まずは元となる文献自体の吟味が肝要であり、資料そのものの時代や書いた人が置かれた政治的・社会的・歴史的状況等々(恣意的に記載内容が歪められていないか?そもそも誤った認識をしていないか?などの判断材料として欠かせない)、無数のチェックをクリアして初めてその文献が検討の素材となり、仮説や実証が進んでいく。
しかしながら、本書は著者自身が事前に述べているように、そうした手続きを経ずに各種の文献・情報を検討の素材に挙げたうえで仮説を作り上げている。加えてその仮説の実証性も多分に、裏付け無しの文献・情報によるものであることだけは、読み手として留意すべきと感じた。

但し、非常に真摯な姿勢で書かれているとは思う。ジャーナリスティックな視点・手法と言えば、それまでだが。2千年前に遡る過去の事であり、彼らの仮説に従うならばカトリック教会より弾圧・抹殺されてきた中でかろうじて部外者が知り得た情報・資料を基にしている以上は、彼らの思考方法自体も否定すべきモノではないと思う。もっとも、歴史学者からは冷笑を浴びるかもしれないが…。(彼らもそういった手法を採れば、無数に興味深い歴史解釈が可能なことは判っているうえで、あえて学問的厳密さ故に、採れないし、採らないだけなのだから)。少なくとも著者達が仮説の立脚点としておいている素材が明白な誤り・虚偽を含まない限りは、可能性の問題として大変興味深い。

小説の「ダ・ヴィンチ・コード」以上に知的好奇心をくすぐる書籍であり、思わず、うおお~叫びたくなるくらい満足できる本でした。

非常に関心のあるカタリ派についても結構、詳細に書かれており、グノーシス主義まで含んで大変勉強になります(入門書としても使えますね)。メロヴィング朝とカトリック教会との関係や、その後の十字軍遠征がソロモン王以来の正当所有権者(ユダヤの王の血筋)として絶対の悲願であった事、フリーメーソンが実は表面の目くらまし、或いは出先機関としての存在であったこと等々。とっても新鮮で魅力的且つ説得力のある仮説だと思いました。

ただ、残念なのは著者の仮説の立脚する素材を一つ一つ、現実問題として検証出来ない事。私も暇人だが、そこまではできないしなあ・・・。イギリスやフランスに行く事はあっても、調べものをして回るだけの余裕はないし・・・。ただ、(全部ではないにせよ)きちんと資料を挙げているのは素晴らしいと思う。誰か、これをきちんとした学究的な立場から検証してくれると、この仮説の意義も更に増すと思う。感情論や宗教論争ではなく、歴史学的な立場から、素材だけでも確かめられれば、この仮説について現実社会での対応も変わってくると思うのですが。

非常に驚く事が多いのですが、今回は一つだけあげるとコーランでイエスは十字架刑を身代りのおかげで助かり、生き延びたという話があること。正直これはえ~っと思った。世界3大宗教のイスラム教の聖典にそんなことが書かれていたなんて! だったら、それだけでも私なんか十分にこの本で述べられる仮説の真実性が増すと思うのですが・・・。

今日、図書館でコーランに関する本(コーラン自体は無かったし、聖なる言葉だから他言語の翻訳不可みたい)を借りてきて、イエスに関するところを見てみると、本当にそうなっているのでますます驚きました!! 誰もそんなこと教えてくれなかったし、初めて聞きましたよ。
これからも、いろんな書籍を読んでこの仮説に関する情報を集めてみたいですが、奥深くて楽しみですね。文章が長過ぎるので、とりあえず感想の1回として終わり。今後も感想がまだまだ続く予定。
レンヌ=ル=シャトーの謎(amazonリンク)

関連ブログ
レンヌ=ル=シャトーの謎 柏書房 感想2 に続く
「聖典クルアーンの思想」 講談社現代新書(これ、コーランの資料)

関連リンク
偽説美術史講座 第2回 美術 プッサンの〈アルカディアの牧童〉
posted by alice-room at 00:00| Comment(4) | TrackBack(0) | 【書評 宗教A】 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
TBありがとうございます。
『レンヌ・ル・シャトーの謎』は、読むの苦労しましたよ。その分、読み応えはありました。
好きなこと沢山書かれているので、また来ます。
Posted by cafenoir at 2005年04月11日 18:42
cafenoirさん、こんばんは。面白いことは面白いのですが、私も頑張って読み通したクチです(苦笑)。なんせ量が量ですもんね。気をつけないと人生が終わってしまいます・・・。

宜しかったらまたいらして下さい。私もお邪魔させて頂きます。
Posted by alice-room at 2005年04月11日 19:14
小説には出て来なかつたけど、
レンヌ・ル・シャトーのベランジェ・ソニエールと、
『ダ・ヴィンチ・コード』のジャック・ソニエールと
はどんな関係にあるのですすか?
Posted by あがるま at 2006年06月27日 15:45
あがるまさん、こんばんは。ソニエールという名前自体には、たいして意味はないと思います。言葉遊びではないですが、ネタ本であることをあえて隠さず、そこからとった名前みたいです。ダン・ブラウン氏はそういうの好きみたいですね。
他にも確か、いろいろなところからとってましたよ。だいぶ前に読んだので、忘れてしまって具体的に挙げられないのですが・・・。探してみると面白いかも?
Posted by alice-room at 2006年06月27日 23:14
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