状況設定の面白さがこの小説のウリだと思います。史上初のイエス・キリスト衝撃映像を巡り、メディア王・バチカン異端審問官・主人公(一介の学生)が壮絶な獲得合戦を行うんですから!
但し、焦点が主人公の学生なのはストーリー上分かるのですが、周りのメディア王、異端審問官(これは昔の名称らしいですが)の背景の描き込みが足らず、より深みのある世界観の構築にまでは至っていないと思いました。残念!
この傾向は随所に見られ、ストーリー展開はスピーディーで良いのですが、最後が陳腐なラブ・ストーリー的な箇所は不要。もっと知的好奇心を満たすべく随所に情報と知識の嵐のして欲しかった。まあ、小説だからといえばそれまでだが。
追加情報:sign of god というタイトルで映画になっているみたい。見てないけど、借りてみたいなあ~。あるかな?
イエスのビデオ ハヤカワ文庫NV(amazonリンク)〈上〉〈下〉