「死海文書の謎」マイケル・ペイジェント、リチャード・リー著 柏書房 感想1
さてさて、前回書いた感想からようやく本書の第3部に入り、死海文書の内容そのものの話。ここまでくるのが長かった。読んでいて、興味をもった点を挙げてみると・・・・。
平和主義者且つ禁欲主義者であるとされたエッセネ派がこのクムラン共同体の住人であると一般的に言われているが、武器を作る加熱炉としか言えないような遺跡が見つかっていることとは相容れない。
「銅の巻物」で述べられた財宝は、侵入してくるローマ軍より守る為に神殿から運び出されてきた。また、その宝の一部と考えられるバルザム油が見つかったこと。
「銅の巻物」が発見された洞窟のちょうど北にある洞窟で水差しが見つかり、それはヘロド王とその後の彼の後継者の時代に由来する品であった。棕櫚の繊維の保護カバーで守られ、中には濃い赤い油が入っていた。科学的分析では、今日知られているいかなる油とも違うもので、一般にバルザム油と信じられている。バルザム油は伝統的にイスラエルの王に注がれるための貴重なものであるが、バルザムの木はほぼ1500年前に絶滅しており、確認されていない。これは、クムラン共同体が砂漠に孤立した存在ではなかったことを示している。
「共同体規則」はメシアを紹介しているが、それは油による聖別を表すだけで、イスラエルの伝統において、王や祭司(高位に就く事を主張する者すべて)も油を注がれたのであり、それゆえ彼らはメシアであったのである。
ヤコブとパウロ。ヤコブはイエスを個人的に知っており、イエスが本来的に主張していた思想に則り、神との契約である律法を遵守する姿勢に対し、パウロは律法を軽んじ、イエス自体を神としてしまう、イエス本来の思想の変質を通じて独自の宗教思想を生み出す姿勢をとる。このような、状況下でパウロの思想が現・教会へとつながっているとする。
さらには、パウロの不可思議な行動やそれに対するローマ軍の対応等を述べながら、パウロは歴史に見られるような「秘密諜報員」で、ローマのスパイとか言っちゃってます。う~ん、この人も結構、好き勝手なこと言うなあ・・・。かなりヤバイこと言ってるように思うんだけど。実際、どこまでがまともな議論の対象になるのでしょうか???ただ、この手の話は、それ以前から19世紀あたりにもいろいろな本で出ているらしいし(眉唾ものにしろ・・・)、イエスが生き延びたというのは、ダ・ヴィンチ・コードが最初でもなんでもなく、実は結構ポピュラーなお話らしいです。他の文献にも言及していましたよ。それらも、おいおい読んでみようかな?ちょっと、この本は読み辛かったですね。個人的には、あまり知りたいこと書かれてなかったし、労力をかけて割りに得るものが少なかったです。まあ、基本資料ってことで、一応は目を通したってカンジでしょうか?
もっと面白いの読もうっと。今、図書館で借りてきた「アッシジの聖堂壁画よ、よみがえれ」の方がずっと&ずっと面白いです。タイトルはイマイチですけどね。清貧を説き、あの聖痕(stigmata)を最初に受けたとされる聖人フランチェスコを祀った聖堂のあるイタリア都市の壁画をこれでもか~ってぐらい大判の図入りで解説されているので、見易いし、なかなかGOOD! こういうの好きなんだよね~。ゆっくり、毎晩寝る前に眺めようっと。
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2005年03月12日
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