実は、この本はダ・ヴィンチ・コード読んでほとんど間をあけずに読んだ本だったりします。何ヶ月か前に読んでる。勿論、とっても面白かったんだけど、ダ・ヴィンチ・コードとそっくりのストーリー展開が災いしてその時の感想はまあ、面白いね!どまりでした。
で、おととい図書館で再び見つけたので改めて読んでみると、二度目なのに面白い!!グイグイと話に引き込むセンスは、パターン化しているとは言え、やっぱりうまいです。私、以前某会社のカタログで商品コピーも書いていたことあるんですが、まさに最初でキャッチーな状況(言葉)で関心を持たせないと、読者はそもそも読み始めてくれませんもん。その辺りは本当に上手、心憎いばかりに商売上手です。
だって、いきなり欧州原子核研究機構(欧州のものとアメリカで競っていて、日本も資金を相当額出すとか出さないとかで大きな問題になってましたね。どちらの陣営に組するかとか、新聞に良く出てた)で、怪しい紋章を焼印された殺人事件が起きて、ハーバードの教授が呼ばれちゃうんだもん。マッハ15の飛行機で(オイオイ)。オマケに殺人で盗まれたものが反物質(=地球上に存在し得ない物質、昔のSFでよく見たなあ~。懐かしいネタ)だもん。コレ、完全にSFの設定です。あっ、ちなみにダン・ブラウン氏はもともとSF作家だったのが、ミステリー系に転進した第一作が本作で、その筋の人です。
導入部の設定は、ちょっと読者を選んでしまうんじゃないかと心配しますが、そこだけ乗り切れば、もう売れ線路線をバリバリ全開のブラウン氏の筆が冴え渡ります。魅力的な女性が出てきて、ちょっと駄目っぽいところもあるけど、英国紳士然として古き良きアメリカ男性と助け合いながら、謎解きをしていく。ホラっ、もうあのスピーディーな迷宮世界に巻き込まれてしまいます。
そこは、現存しながらも私達が気がつかないできた宗教の世界やら、美術の世界、古書の世界等々が神秘の扉を開いて、新鮮な驚きと共に知的好奇心をくすぐるんですから・・・。はまるんでしょうね、きっと、そんなわけで。
でも、ほんとこの著者ってうまいんだよね。私はトレッキー(スター・トレックの熱狂的ファンのこと)ではないけど、深夜3時とかのTV番組をしっかり見てたくちですので、ちょこちょことくすぐられる表現にも弱かったりする。アメリカ人だったら、堪らないでしょうね、きっと。おまけに、欧米人が大好きなお得意の秘密結社とか陰謀論がメインとなれば、設定的に売れてしまうって。しかもその秘密結社はあのヴァチカンと対立する組織となれば、道具立ては完璧!うまい、うますぎるぞ、ブラウン氏。
それ以上に、凄いのはやはりその素材を生かし切る作家としての能力。奇跡を体現し、あまりに真摯で胸が熱くなるような信仰の徒にして、指導者として決断力を示す教会関係者(侍従とか)。職務に忠実過ぎる堅物のスイス兵の責任者。本当に魅力ある人物として、生き生きと描かれています。そういうのがやっぱり、見逃せない凄さですね。読んでて本当に面白いもん。二度目でも。
で、後半にかけて出てくるあの建築家。ローマを歩いていると、どこに行ってもあるし、噴水やら何やら知らないでいられない存在でしょう。また、そのどれもがいいんだけど。いやあ~、京都で仏像や寺が秘密を解く鍵と言われても、お手上げなのと一緒ですね。うん。で、最後の最後の結末は・・・・・。いやあ~脱帽です。全然、読めませんでした。ダ・ヴィンチ・コードは比較的すぐ分かる人が多いですが、こちらはねぇ~。まあ、犯人探しがメインの本ではなく、その過程を楽しむ本ですから、犯人は二の次だと思うのですが、よく出来た結末だと思いますよ!(拍手)
この本の元ネタはかなり知っていたので(ラファエロの墓とか、あの城とか、建築家等々)、ダ・ヴィンチ・コードほど知識の面では驚きませんでしたが、コンクラーベは知りませんでした。薔薇の名前(本)を読んで、初めてそれが始まった経緯を知りました。何故、鍵をかけて閉じ込めたのかとかね!(どこの世界も政治と権力です。勝てば官軍。歴史は勝者によって作られる。ってことですね)
まあ、話はそれましたが、エンターテイメント性たっぷりの小説でした。これもダ・ヴィンチ・コードの次に友達や知り合いに勧めまくってます。外れはないでしょう(笑顔)。出版社と訳者は儲かってしょうがないね。羨ましい限り。
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映画「天使と悪魔」
「バチカン・ミステリー」ジョン コーンウェル 徳間書店
法王を選出するコンクラーベ1
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ガリレオ異端審問「容認」発言で抗議運動、ローマ法王が演説中止
ほんと確かに欧米人好みの小道具ちりばめまくりですよね!
日本でいえば邪馬台国とか陰陽師とかのノリでしょうか・・・
ラングドンシリーズを初めて読む人には「ダ・ヴィンチ・コード」を薦めますが、「ダ・ヴィンチ・コード」を読んだ人には「天使と悪魔」を必ず薦めます。確かに冒頭しばらくは我慢して読み進まないとツライところはありますが、二項対立としての「天使」が何で「悪魔」が何なのかを考えて行くとなかなか深いものがあると思います。
できれば、この小説も映画化して欲しいのですが、それぞれの惨劇がかなりインパクトあるので宗教上の理由で映像化は無理かもしれませんね。
初め「Angels&Damons」を読んだときは、「ええ~、法王死去?」と思いましたが・・・。とうとうこの時が現実に来てしまいました。今読んでるのが終わったら、もう一回読み返そうかしら、と思っています。
映画化は難しいでしょうね。今回の件で、あまりにもリアルに現実とオーバーラップしてしまうし、ダ・ヴィンチ・コードでも散々物議をかもし出していますから。10年後とかほとぼりをさめるのを待たないと・・・ですね。
繰り返して読むと、また違った感じで楽しめますよ。不謹慎ですが、今回のことがあってより身近に感じられますので。
私は今、これを読み返しているのですが、んー前半は難しいです(苦笑)。もう真空管でバンジージャンプとか、反物質だとかもぅさっぱりです。ラングドンよろしく、『それって人間の話す言葉か?』と思いたくなちゃいます(笑)。それでも舞台がバチカンの方に移っていくとおもろいんですよね。
で、tb失敗しちゃったので、コメントで許してください( p_q) シクシク
まあ、最後に関わってくる伏線とだけ理解できればOKというアバウトな読み方してたりします(笑)。そうそう、現実のバチカンもなかなか複雑な状況になっているみたいですね。
次回作が楽しみですね、本当に!コメント有り難うございました。
TBありがとうございました。
天使と悪魔も映画化権をハリウッドが取得したという情報を先日どこかで目にしましたよ。SFX駆使しまくったら、こちらの方が、映像映えする気がしますよね?
コンクラーベや法王系の話は、拙blogにも書かせて頂きましたが、塩野七生女史の「神の代理人」を読むと色々書いてあり、お奨めです。alice-roomさん既にお読みかも知れませんが。
ではまた
塩野さんの「神の代理人」ですか。ローマ人の物語とか読んでますが、知りませんでした。ちょっと探してみま~す。情報有り難うございました。
再生医療の為に、幹細胞を使うというのは本やNHKのTVとかで聞いてはいましたが、母体内で許可を取るんですか…そこまでは全然知りませんでした。でも純法律的には、議論の余地が多大にありそうなトピックですね、へえ~時代はそこまで進んでるんですね。勉強になりました。有り難うございます。
私もそうですが、いろんな意味できっかけになる本でした。何でもそうですが、知るば知るほど、更に関心が増し、興味深いですね!
ダン・ブラウンはおっしゃる通り、素材を活かす力を持ってますよね。秘密結社、暗号、サスペンス、恋愛。。。もぅ、盛りだくさんでたまりませんっ。そしてキリスト教には疎い私には勉強にもなったりします。
シリーズ3作目はもう少しストーリー展開が違うと良いかな?と期待してます(笑)。
そうですよね、ちょっとパターン化してますので、ひとひねり欲しいですね、次回作には。
読んだのが数日前だったので、教皇の死去やコンクラーベなど、正に絶好のタイミングだったんだなあと嬉しい驚きでした。確かに知識を得るという面では「ダヴィンチ…」に譲りますが、こちらの方がミステリーとしての質は上かな、というのが個人的感想です。
aliceさんのように、これから2回目を読んで、また何か新しい面白さを発見するのが楽しみですvv
どの立場の人の気持ちで読むかで、本の感想も変わりますが、いい意味で何度も読める本かもしれませんね。
alice-roomさんの記事とってもおもしろい!
これからじっくり読ませてもらいまっす♪
やはりバラの名前好きな人ははまりますね☆
TB&コメント有り難うございました。
次を期待しつつ
またいろいろ本読みます。
コメントもしようかなって思ったのですが、沢山コメントが
書かれてましたので、ちょっと遠慮しちゃいました;;
本日TBを頂いたので思い切ってコメントします♪
映画の影響でダビンチコード旋風が復活しそうですね!
楽しみです!
白髭の中では、高校3年の夏休みぐらいの勢いで盛り上がってるので
密かにTBさせてもらいます。
ラングドンの恋話とかどーでもいー派です。
ほんと、これ読むとローマにまた行かなければと思いますよねぇ~。まして、こないだ前法王が亡くなった時には、あまりにタイムリー過ぎて怖いくらいでした。そういえば、こちらの映画化話もあるようですね。ダ・ヴィンチ・コードの成功次第でしょうが…?
こちらでヴァチカン秘密記録保管所にいけますよ。私は2004年の夏頃これを読みました。
「天使と悪魔の真実」と一緒に読むとまた面白いですよ。
最近、全然見ていなかったのですが、改めて手彩色写本とか素晴らしいと思いました。
「天使と悪魔の真実」読んでいないんですよ~、実は。最近、ダ・ヴィンチ・コード関連のもの(ニュースや情報)が多くて全然catchupできていません(トホホ)。
実は私もダ・ヴィンチ・コードの後で、天使と悪魔を読んだ方です。ストーリーとしては、こちらの方が面白いですよねぇ~、私もそう思いました。
その後、どっぷりはまっている感じです(笑顔)。まだまだ表面的なことしか分かりませんが、本当にいいきっかけになりました。
今では、それがゴシック建築やらなにやらとより一層広範な西洋の歴史全体にまで興味が広がっている感じです。
今年は、ダン・ブラウンの次回作も出るようですので楽しみですね♪
コメント有り難うございました。
「天使と悪魔」を読んで以来小説に出てくる単語が妙に頭から離れません。コンクラーベとか教理省とかヴァチカンとか。今まで考えたことも無かった世界の存在に惹かれているのかもしれません。
インターネットで調べてみると、。教理省は古くは異端審問を担当した組織、検邪聖省といわれていたそうです。現在のベネディクト16世は教皇位を受けるまで教理省長官の地位にあったそうですね。異端審問等と聞くと魔女裁判などを連想して恐ろしさが先に立ちますが、今もそのような省があることに驚いてしまいました。勿論当時のような役割ではないかもしれないと思いますが。
世界の10分の一以上の人がカトリックの信仰を持っているとのこと。あまりの多さに本当にびっくり。本の素晴らしさは知らない世界を教えてくれるということでしょうね。
読書モードに入ってしまっているので次回作早く出てほしいです。
確かに知れば知るほど、興味深く関心を惹くことが多いですね。
>教理省は古くは異端審問を担当した組織、検邪聖省といわれていたそうです。現在のベネディクト16世は教皇位を受けるまで教理省長官の地位にあったそうですね。
はい、今も教理聖省という名称で教義的に正統であるか否かを判断し、種々の活動をしているようです。
また、その代々そこを担っているのはドミニコ会やイエズス会+αでいろいろあるみたいです。
以前書いた内容で恐縮ですが、うちのブログのあちこちでも触れていますので、ご興味があれば探してみて下さい。以下のところとか・・・。
http://library666.seesaa.net/article/3056408.html
http://library666.seesaa.net/article/3056499.html
また、現在の教皇が書かれていた本も出版されていますので、そちらも興味深いです。
映画の「スティグマータ」などもトマス福音書を踏まえた作品ですので、予備知識があれば、相当楽しめると思います。
おっしゃられるように本を通じていろんな世界を知る事ができるのは本当に楽しいですね♪
ご参考までに。
コンクラーベは実はワタクシ学生のときから知っていました。
理由がけっこうくだらない。
なんか笑い話のひとつだったんですが、イタリア語で意味の同じ日本語とかいうのにもあったかな(シャレです、勿論)
教皇選出の方法、根競べ(コンクラーベ)
おそまつさまでした(笑)
読ませて頂きました。
> ラッツィンガー枢機卿。バチカン教理省の長官を務め、「教義の番犬」の異名を取る
いくらなんでも記事にこういう表現もどうかと思うんですけどね、日経さんも思い切った書き方しますね。
>それはそうと、人は立場や環境によって変化していく存在ですから、おしゃられるように新法王も時代の要請に即して変わられていくかもしれませんね。いい方向に。
誰が教皇になられるのか?その方がどのような考えを持たれている方なのか?恥ずかしい事ですが今まで考えたこともありませんでした。
>また、現在の教皇が書かれていた本も出版されていますので、そちらも興味深いです。
キリスト教関連の新刊書籍紹介で20位にランキングしていますね。(5月27日現在)
読むには大変難しそうです。
それぞれ詳細を見ていて3位にランキングされているピーター・シャビエル著「イエスの涙」が面白そうです。ちょっと読んでみます。
http://www.roy.hi-ho.ne.jp/shomoku/ntb/1/f01.htm
>映画の「スティグマータ」などもトマス福音書を踏まえた作品ですので、予備知識があれば、相当楽しめると思います。
トマス福音書成るものを知りませんでした。トマス福音書を調べていたらグノーシスに出会いマニ教に出会い・・・未知との遭遇です。
パソコンの前に座るのが日に日に長くなっています。楽しみが増えているということですね。映画も見るのが楽しみです。
薄っぺらな知識のalice-roomです(笑)。
面白い本が読めるといいですね♪
「イエスの涙」は読み終わりました。イエスの十字架に焦点を当ててキリスト教が2000年にわたって真髄としてきた教義を覆す試みがなされています。クリスチャンたちが十字架に対して不可解な嫌悪を示すところから物語は始まります。日本人の神父とシスターによって明らかにされていく真実は、暗号解読や秘密の結社が出てくるわけではないので派手さには欠けますが、ダン・ブラウンの作品よりもっと深刻な問題をキリスト教会に投げかけているのではないかと思われます。それこそ教理省の出番かもしれません。面白い作品でした。
面白いものは、ブームが終わっても残るものだと思います。ダン・ブラウン氏の作品は、私も読むだけの価値ある作品だと思います(笑顔)。
スタイル(文体)というのでしょうか、文章全体から伝わってくるものがありますね。
特に「天使と悪魔」は、面白いだけでなく、結構、こう胸にくるものがあったりして、惹き付けられます。
私は、実はまだ読んでいないのです「イエスの涙」。本屋さんや図書館でみかけないんですよねぇ~。
いつも手元にうず高く積まれた本と格闘するのに夢中で、手いっぱいになってしまっているせいかもしれませんが、改めて興味を持ちました。見つけたら、読んでみたいです。
コメント有り難うございました。