2005年03月12日

「オクシタニア」佐藤賢一 集英社

異端カタリ派やドミニコ修道会士やらが盛りだくさんで出てくるみたいで、「薔薇の名前」かあるいは幻想文学等のようなものを期待して読みました。正直言って、読了するまでに膨大な時間をかけた割りには、なんにも残らない本でした。

内容としては、私がすっごく行ってみたいカルッソンヌでのアルビジョワ派十字軍での前後を挟んだ歴史小説です。当然、世俗の王侯諸侯やら、カトリック教会、ドミニコ会、異端審問、カタリ派等々、いい条件揃えているのにね・・・駄目なんだもん、コレ。

少なくとも当時の背景的な知識についていうならば、この本を読んで新たに得られたもの全く無く、知的好奇心には一切訴えかける点はありませんでした。「ダ・ヴィンチ・コード」とかそういう類いのウンチクを期待してはいけません。その分、小説に徹しているとも言えますが、個人的にはもっと突っ込んだ説明も欲しかったです。かなり浅~く書かれています、分かり易いかもしれませんが。

じっくり読んでいくとそれなりに登場人物がしっかり描かれているのですが、文体やプロット的には読者の興味をそそるのが下手です。こないだ「天使と悪魔」を読んだ後には、まさに苦行としか感じられません。読み始めて10分で読むのをやめようかと悩んでしまいました。その後、費やした時間・労力を考えると、忙しい方には時間の無駄かと(6時間以上はかかります、読了に)思います。

歴史小説といえば、そうなのかもしれませんが、私的には通俗小説って位置付けです。失礼ながら直木賞作家さんってこの程度なの?俗っぽ過ぎてちょっと・・・。この小説でなんで濡れ場が必要なのか、私には分かりません???(しかも中途半端なこと、このうえない)人間の生きる営みを描く上で性描写が必要なら、もっと描き込めばいいし、表面的過ぎて低俗さを覚える(むしろ、猥褻なまでの表現を期待します、描くならね)。時折、人物の心情表現には、うまいかな~と感じるところもあるが、なんの為に中世フランスを舞台にしているのかが不明???著者の意図を測りかねます。

私の好きな徳川家康、織田信長、豊臣秀吉等々の日本の戦国武将を描いた名作の方がこの100倍以上も面白いけどなあ~。人間の心理や、組織におけるリーダーシップ、戦略論とかも含めてずっと為になるし、小説としても面白いのに・・・。最近のだったら、早川元秘書が描いた政治家田中角栄とかね。

まあ、この本を買わなくても良かった!図書館はありがたいね。無駄な出費を避けられるもん。気に入ったら、読んでから改めて買えばいいしね。さて、借りてる本返して、明日はまた別な本借りてこようっと。

オクシタニア(amazonリンク)

佐藤賢一氏のインタビュー記事
posted by alice-room at 01:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 小説A】 | 更新情報をチェックする
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