2011年12月14日

「サン・ドニ修道院長シュジェール」シュジェール 中央公論美術出版

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ゴシック建築に興味を持ってゴシック建築の創始者たるシェジェールを知り、また、最初のゴシック建築と言われるサン・ドニ修道院の献堂記(他)があると知ってずっと読みたいと思っていました。

国立西洋美術館のミュージアム・ショップに並んでいるのは手にとって見た事あるんですが、さすがに買う気にまではなれなくて・・・・。はんぱなく高いうえに、本が大きくて読み終わったら絶対に邪魔になりそうだし・・・。

調べると地元の国立大学にあるみたいだけど、うちの母校ちゃうし、面倒。近所の図書館から取り寄せると1ヶ月ぐらいかかるんだよね。以前、別な本でやったことあるけど、待ってらんないって!

いつか機会をみてと思っていましたが、今週京都旅行を中止したので久しぶりに行って読んできました。せっかく作っておいた国会図書館のカードは期限切れになっていたけど、しかたないです。

さて、まずは目次から。
【目次】
序1 シュジェールの著作
序2 シュジェールー人と業績

ルイ6世肥満王伝
ルイ王の息子である、栄光に満てるルイ7世王について

1140年に作製された定め書
 1序
 2改築の諸理由
 3改築開始
 4石切場の奇蹟
 5摂理による梁の発見
 6前部(西側)の献堂
 7教会堂頭部の建設
 8作業の継続のための年収の設定について
 9作業の完成
 10殉教3聖人の遺体の墓
 11嵐の奇蹟
 12摂理による羊群の到着
 13献堂式の展開
 14諸遺物の奉遷
 15諸祭壇の奉献

サンドニ教会堂献堂に関する覚書

サンドニ修道院長シュジェールのその統治においてなしたる事ども
 第一部 所領
 第二部 教会堂
  1教会堂の装飾について
  2教会堂の最初の拡張について
  3奉献について
  4青銅で鋳造し塗金した諸門について
  5祭室部階上の拡張について
  6袖廊
  7両側の建物の接合について
  8教会堂の装飾について
  9階上祭室の金の祭壇前立てについて
  10聖遺体の墓
  11金の十字架磔刑像について
  12主祭壇
  13装飾類
  14聖祭壇
  15聖遺物匣の開被と奉献
  16金の大十字架
  17修道士の座席、説教壇、「ダゴベールの」王座及び祭室部の鳶
  18硝子絵
  19祭壇の装飾
序1、及び序2が本文を読み解く前に前提としての説明になります。

個人的にはそこに書かれたディオニシウス・アレオパギータ(偽ディオニシオス)の著作「天上の位階論」がビザンティンから伝わり、西洋中世の思想的底流になっていく経緯が大変、勉強になりました。
(別途、抜き書きメモ)

そうそう、献堂記にゴシック建築の面白そうな事が書かれてると予想していたら、そちらではなく、統治記の方に、一番大切な『光の形而上学』の思想が描かれています。特に「13装飾類」のところ。

「18硝子絵」の意匠(デザイン)の説明も、非常に興味深いです。貧者の聖書ですねぇ~。聖職者以外の民衆が説明を受けてもどこまで理解できたのかは微妙ですが・・・。

ステンドグラスに描かれた図像の意図と意匠を説明しているのですが、以前読んだ『神の水車』みたいな奴で知れば知るほど楽しめます。改めて、これ読んでからサン・ドニ修道院に行きたくなりました。去年行ったけどね。

個々の章ではないけど、全編に奇蹟譚も散りばめられています。
中世当時ですし、あれだけのものが出来たのは、まさに神の思し召し、神のご加護の賜物であり、個人が頑張ったから・・・とかいうあさましき自己主張がおおっぴらに出てくるルネサンスとは違いますからね。
みんな、奇蹟=神様の御意思、って感じです。

そうそう、中世のステンドグラスや建物についてあちこちで読んだ本に宝石他、貴重で高価な宝物を埋め込んだり、溶かして混ぜたりの記述がありましたが、本当にそうやって飾り立ててるんですね!
どれだけたくさんの宝石や貴重品が集められ、このゴシック建築に費やされたか、実感できるような記述が満載されています。

ゴシック建築の貴重な資料とは聞いていましたが、やっぱり読んでおかないといけないでしょう♪

ただ、別なゴシック建築史の本を読んだら、シュジェールの『天上位階論』の理解は、表面的で浅かったという説もあるようですが・・・(確か)直接的な言及は無いものの・・・でも、やっぱり本質は理解して、それを現実に表現した、という一般的な説の方に私も賛同します。本書を読んだ限りではね。

とにかくゴシック建築を愛するなら、読んでおくべき本でしょうね。
当然、サン・ドニ修道院やシャルトル大聖堂に行くことも必須ですけど。(まだ、アミアンやランス大聖堂に行ったことのない私がえらそうに言うのもなんですが・・・・)

どっかで文庫本で出してくれたらいいのに・・・・。岩波とかさ。
通常サイズの本でも、この内容なら買うんですけどね。需要がないのかな・・・残念です。電子書籍化してくれてもいいのだけれど・・・・。

以下、読書メモ:
サン・ドニ修道院長シュジェール~読書メモ

サン・ドニ修道院長シュジェール―ルイ六世伝、ルイ七世伝、定め書、献堂記、統治記(amazonリンク)

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posted by alice-room at 22:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 建築】 | 更新情報をチェックする
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