2005年03月14日

「アルハンブラ」佐伯泰英 徳間書店

何故、仙台の旅行中、アルハンブラを読んでいるのか?何故、作並温泉の露天にたった一人で浸かりながら、phantomを口ずさみつつ、アルハンブラなのか?
まあ、そういったことは別にして旅の最中に必ず本が相棒の私としては、まずまずの相手でした。

中身としては著者のバックパッカー的な旅行記に、史実のアルハンブラ物語が織り込まれる構成で、個人的には「中途半端にせず、どっちかにしろ!」といつもなら、不満を覚えるところなのですが(=実際、最初は結構、鼻につき、自分に酔ってる自己満足的な低俗さを感じたんですが・・・)、最終的には大目に見てあげようかというぐらいの気持ちになりました。

一度行って、自分の足で心ゆくまで回った人には、この小説の中に描かれている個々の風景が目前に浮かび、勝手に自分の中で膨張するのできっかけさえあれば十分なのです、そもそも。既に、もう焼きついて離れないほど、刷り込まれてしまう強烈な美しさ!イスラムの(神の)至高性! 本書はそういう意味では十分に、それを思い出させるキッカケになりうるのです。

あれほど神の領域にも近づき得るかのような、壮麗且つ至高のアルハンブラは、最後の王ボアブディルその人の責めに帰すべき事由よりも、権力闘争に明け暮れたイスラム国家の結果として、レコンキスタ(国土回復運動)をキリスト教徒に為さしめてしまったその悲劇。しばしば歴史上あることの一つではあるが、アルハンブラをユニークにするものは・・・。論より証拠、行ってみるしかないでしょう。自分の足で、自分の意思で、自分の価値観で。

なんだか漠としていますが、そういったことを感じながら、読んでいました。内容的には、オーソドックスなものを下敷きにしていて、格別知らなかったことが無かっただけに、より一層、自分の中の記憶や思いを再発見する機会になりました。やはり、美しいですアルハンブラ。単なる世界遺産の一つではないなあ~。目にも彩かな天人花、シアラネバダより延々と引き込まれ、敷地内を流れまわる水のせせらぎ。モローの描く、出現の背景。モザイクのごとき、無限のイメージに翻弄されながら、未だに魅了するのですから・・・。

行った事のある人、行く人は読んでもいい本かも?但し、著者の描写が優れているわけではないので、行ったことがないとおそらく想像できません。この本のレベルでは。とにかく、仙台にいながら、何故か心はハーレムだったりします。魅惑の迷宮と言ったところでしょうか。
アルハンブラ―光の迷宮 風の回廊(amazonリンク)

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posted by alice-room at 21:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 未分類A】 | 更新情報をチェックする
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