
【※ネタバレ有り。未読者注意!】
同じ著者の書いた「テンプル騎士団の古文書」は、確かあまり面白くなかったのでこちらもずっと放置していたのですが、最近、この手の小説を読んでなかったので久しぶりに読んでみました。
上巻、及び下巻のかなりの部分までは、正直えげつない描写ばかりで嫌いです。
いくらマッド・サイエンティストでも、まんま人体解剖では・・・・。
最後にいくらそれが意味があって、謎解き部分につながる伏線として結び付くにしろ、私的には気持ち悪くて後味が悪い。確か、前作も残酷な表現が多く、アクション・シーン満載かもしれませんが、どうにも安っぽさの方が鼻についてしまいます。
映画とかビジュアル的には、見栄えするんでしょうけどね。
延々と、人が拉致られ、拷問するような場面ばかりが続くので最後まで読むの止めようと思い、途中からかなり飛ばし読みにして謎解き部分だけ見て、読むの中止するつもりでした。
でも・・・アクションシーンやら拷問シーンを飛ばして、下巻後半の謎解き部分は結構、いい感じでした。この部分を生かしつつ、そこの内容を膨らませれば、もっと素敵な読み物になるのにねぇ~。
徹頭徹尾、受け狙い、映画化狙いのあざとい演出、つ~かプロットで、知的な読み物とは言い難いなあ~。すっごくもったない感じです。
ただ、いろいろな各時代を名を変え、肩書きを変え、生き抜いて『不老不死』という究極の目的を達成せんとする話は、ベタベタなパターンではあるものの、結構いい感じでした。
アン・ライスの吸血鬼のものの方が、はるかに洗練されていて読み物としても面白いけどね。
あとタイトルですが、わざわざ『古写本』である必要も無かったです。本好きの私はそこに引っかかったのですが・・・。
『ウロボロス』もオカルト系やグノーシス系の異端的な色彩を印象付ける記号でしかなく、本質的な必然性や伏線につながるような意義もありません。
結論、映画的なドタバタアクションシーンを文字で読むのが好きならいいが、物語としての面白さ、ストーリー性を求めるなら、読むべきではないかと。やっぱり、この著者の作品は合わないな、私には。
一応、概要も。
レバノンで考古学の研究する女性考古学者。以前の知り合いでイラクからやってきた人物がとある考古学的遺物の買取を持ちかける。しかし、その遺物の中には、一部の者達にとって最高の価値を持つ古写本が含まれており、それを巡り、数々の陰謀・事件が起きていく。
関係者は次々と殺害され、女性考古学者は拉致され、その娘の遺伝学者が母の奪還を目指す。旧イラク権力者の残党やら、CIA、国連等、複雑な政治的状況下、古写本を求めて各人が各人の思惑でその争いに関わっていく・・・。
物語の進行と平行して、18世紀のとある場面が描かれて、重層的に物語の深みを増すように描かれるが・・・。
まあ、そんな感じのお話です。
特徴的なのは、旧イラク残党のマッド・サイエンティスト。惨たらしい人体実験や拷問場面は、お薦めできません、個人的にはね。
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「テンプル騎士団の古文書」上・下 レイモンド・クーリー 早川書房