本書はビジュアル面重視で、昨今人気の『とんぼ』のシリーズなのですが・・・。
よくあるような教会だったら、まあ、マンネリだよなあ~と思いつつ眺めていたのですが、実に珍しいタイプの古寺を紹介しています。
全体的に大都市にあるゴシック建築ではなく、地方に点在し、メジャーにならないようなロマネスク建築の教会を紹介してます。ましてイタリアのロマネスク建築だもんね。
ほとんど知らないところばかりでした。それだけでもかなり新鮮な感じ!
フランスゴシック建築至上主義者(そんな言葉無いけど)の私などには、本当に目新しい視点に気付かされた感覚でした。フランスのロマネスクも行きたいと思っていましたが、イタリアも悪くないと思いました。
とにかく写真が面白い♪
こんなの見たら、是非行って自分の目で見たくなっちゃうって。でも、田舎って観光するの大変なんだよね。時間さえあればいいんだけど、空港からアクセスの良い大都市と比較するとロスする時間が・・・痛いなあ~。
でも、こんなの見ると久しぶりに海外旅行に行きたくなりましたよ。年末も行きそびれたしなあ~。

これ、なんだと思います?
樹になっているのは、男性の生殖器。これらを収穫したり、使ったり(!)している連中が『魔女』だって。泉(貯水槽)の建物の壁につい先頃まで塗り込められていたそうです。イタリア、その手の多過ぎ(笑)。
豊穣の象徴らしいのですが・・・・さすがにこの手のデザインは見たことも聞いた事もないですよ、私。インドのリンガやヨニでもあるまいし、しかも魔女って・・怪し過ぎる(ワクワク)。

こちらはケルト十字みたいな意匠ですが、イギリスでもないのでランゴバルド芸術だってさ。なんか独特のレリーフだよね。

ここいらになると、フランスのロマネスク建築でしばしば見るような意匠になりますが(グリーンマンではないものの)、個人的には好き♪だったりする(笑顔)。
本書は、コラム的に名物の郷土料理の紹介なんかもあったりして、まあ、上出来の観光ガイドみたいなノリではありますが、結構、いいと思います。フィレンツェも2度ぐらい行ったけど、本書に出てくるような教会は、全く気付きませんでした。
もうちょっと近ければ、行き易いんだけどね。でも、行ってみたい気持ちになります。
定番のイタリアを押さえた人ならば、こういう系も良いかもしれません。
私は結構好きな本でした。
あとは、もうちょい解説がね。中身深くなると、はるかに面白みを増すと思うんだけど、そうしたら、読者層が絞られて、売れ行き落ちちゃうんだろうから無理か。
その辺の薄っぺらさは残念なんですが、でもこの手の好きな人には、外れではないかと思いました。
【目次】イタリア古寺巡礼―フィレンツェ→アッシジ (とんぼの本)(amazonリンク)
フィレンツェ―眺めのよい聖堂 サン・ミニアート・アル・モンテ修道院聖堂
ロメーナ―ロマネスク日和 サン・ピエトロ教区聖堂
ピサ―奇蹟の広場 サンタ・マリア・アッスンタ大聖堂
シエナ―聖母に護られた町 サンタ・マリア・アッスンタ大聖堂
モンタルチーノ―簡素な楽園 サンタンティモ修道院聖堂
マッサ・マリッティマ―アヒルと魔女 サン・チェルボーネ大聖堂
アンコーナ―東方の香り サンタ・マリア修道院聖堂
ジェンガ―かくれ里の名作 サン・ヴィットーレ・アッレ・キウーゼ修道院聖堂
フェレンティッロ―のどかな渓谷 サン・ピエトロ・イン・ヴァッレ修道院聖堂
アッシジ―心洗われる中世美術の宝庫 サン・フランチェスコ聖堂
ブログ内関連記事
「芸術新潮 2007年04月号 イギリス古寺巡礼」
イタリアだけの贅沢、民家の壁からラファエロの複製
何かがある?謎の空洞と文字 ルネサンスの絵
「ジョットとスクロヴェーニ礼拝堂」渡辺 晋輔 小学館
「アッシジの聖堂壁画よ、よみがえれ」石鍋真澄著 小学館 感想1
教会の選択があの本の味なのです!気づいてくださる方は、通の方ばかりです。
中身が薄いというご指摘、もっともですが紙幅の関係で全部入れられないし、初心者にもということで、書いています。
ぜひ、講演会やトークイベントにいらしてください。もっと詳しいことや、裏話なども話しています。ぜひ
こちらこそ、コメントどうも有り難うございます。
本当に読んでいて、目から鱗の本でした。
来月から8日間ほど、イタリアに行ってきますが、少しでも本書で紹介された場所に行けたらいいな♪って思っております。
今度、機会がございましたら、講演会等うかがわせて頂きますね。素敵なお話をうかがえるのを楽しみにしております。