昨今のご時世を鑑みるに・・・税金の無駄使い・・・・とか浅ましいことは申しませんが、もうちょい中身のあるものだと良かったんですけどねぇ~。
しかもあえて一般向けにして本まで出す意義が分かりません?まあ、出版社さんが損しないと思ったんならいいのでしょうが、内容を読んだうえで浅学のわたくしには分かりかねました。
要は特徴のある街作りで成功を収めている・・・・町おこしで地域活性化の成功事例として、日本でも何かぱくれないか? 過疎化で地域経済が衰退していくのを防ぐ、何かに使えないか・・・そんなもっともらしい理由でもつけて予算取った結果なのでしょうが、本当に驚くほど薄っぺらな内容です。
両者とも共通点は『本』というキーワードであり、お役所の関与しない、個人的 or 完全に民間の人達が自発的に生み出したものであり、そっから何かを得ようとしても意味ないかと。
ヘイ・オン・ワイは、私的にも行ってみたいとかねがね思ってはいたものの、あれは特殊な1個人の宣伝・企画の才能に由来することは、周知の事実だし、それをモデルにしようとした世界の他の地域もあそこまでの成功には至っていないかと。
まともな研究対象にそもそもなるとは思えないし、本書の内容もどっかで読んだ内容の切り貼りみたい。思わず、wikiや論文検索サイトで出てきたものをコピペして作った学生の卒論かと思っちゃいました。
(参考文献出てるけど、もっといい資料使いましょう。見知った本なども幾つかありましたけどね)
実際、そのレベル以上ではないかと。
本書の中にも出てきた表現でいうと、本書は内容的にはツブしていいものだと思いました。読むだけ時間の無駄です。ヘイ・オン・ワイについても、神保町についても、それぞれについての基本的な知識も不足してるのがうかがえます。
また、昨今の事情でインターネットへの露出や、それによる宣伝、販売等への影響も関心を持って書かれていますが、本当に研究として客観性を意識しているなら、もうちょい統計的なデータを出しましょう。
安易な検索数やネット経由での販売金額とか、表面的なものではなく、他の業態との比較や公的に出されているデータから一定の手順を踏んで加工するなど、定性的な面ばかりでなく、定量的な側面もね。基本でしょう。
かなりイタイ本でした。
【目次】神田神保町とヘイ・オン・ワイ―古書とまちづくりの比較社会学(amazonリンク)
1部 イギリス・ヨーロッパの古書のまちづくり
古書の町とまちづくり―古書の町ヘイの誕生とブックタウン運動の広がり
ヘイ・オン・ワイの古書店とインターネット―ヘイ・オン・ワイと神田神保町の比較研究の視点から
ブックタウンによる地域経営―本から生まれる滞在型観光のヒント
ヘイ・オン・ワイの古書店街を歩く―古本の魅力
第2部 日本の古書のまちづくり
本屋仲間―本の文化の担い手としての神田神保町古書店街研究
日本の古書店分布と地方古書の町の可能性―福島県只見町・たもかく本の街を例として
「ブックタウン」という試み―本と観光・まちづくりの接点
記録:古本屋の生の声
イギリス、インタビュー記録
ベルギー、ルーベン大学インタビュー記録
神保町、インタビュー記録―若手後継者の本音
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「神保町の虫」池谷 伊佐夫 東京書籍
「古書街を歩く」紀田 順一郎 新潮社
「世界の古書店」川成洋(編) 丸善
「世界古本探しの旅」朝日新聞社
「本の国の王様」リチャード ブース 創元社
「ヨーロッパ古書紀行」文車の会 文化出版局