キング・アーサー公式サイト
通常のアーサー王物語とはだいぶ違っているうえに、あえて歴史的事実に基づいていると自称している映画。ダ・ヴィンチ・コードのダン・ブラウン並みの嘘つき? いくら諸説あるとはいえ、正直、いわゆる正統派のアーサー王とは認められないことは留意して見るべき。ローマ帝国の支配下にいて、ローマ軍として闘う契約を結んでいる異民族出身の騎士とローマ人のアーサーという設定。まあ、ちょっと変わったカンジのが作りたかったんでしょう。エンターテイメントに徹する気だったにしろ、結果的に失敗してます。娯楽作品としてもつまらなかった。
アーサー王伝説と登場人物の名前は同じだが、かなり違った話になっている。魔法使いマーリンは出てくるが、ちっとも魔法を使わないし、マーリンの魔法で化けて関係したせいで子供が生まれたりもしません。また、アーサーの妃ギネビアが不倫の関係を結ぶこともない。なんじゃ、こりゃっ? ていうアーサー王物語ですな、これは。
ストーリー全体も盛り上がらないけど、fictionはfictionとして楽しめないのが辛い。最初、リアルっぽい設定をしながら、後半は中途半端にご都合主義に陥り、目も当てられない状況。少数で多数の敵を破る、というのは小説の話にはなっても、本来は戦略的な評価に値しない奇策に過ぎず、勝つべくして勝つ! という用兵学の観点から見ると、アーサーは無能な指導者とさえ映るのだが・・・。まあ、映画だからどうでもいいことではあるが、リアルに描くなら、そういう点も加味すべきだし、エンターテイメントなら楽しませて欲しい。
ダラダラと続く戦闘シーンは見ていて退屈であり、拷問に等しかった。舞台がブリテン島であり、あの名著「ガリア戦記」のことが頭に浮かぶが、私のリスペクトするカエサル様は、いかにして強敵を征服するか、知恵を絞り、きわめて合理的な戦略のもとでリーダーシップを発揮していたのに、その精神のカケラもこの作品には引き継がれていないのが悲しい。
7人の侍(8人ですが)よろしく、多勢に無勢というのは論外!って思っていたら、どうやら7人の侍へのオマージュらしい(はあ?)。安っぽいC級映画と言っていいでしょう。とにかく、作者の意図が不明??? パイレーツ・オブ・カリビアンもジョニー・ディップの演技力でのみ、かろうじて見ていられてけど、これは監督のヒドサが救いようがない。何故、これでお金が稼げるのやら・・・・不思議です。
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2005年02月27日
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『キング・アーサー』
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