2005年02月24日

黄金伝説 ~聖人伝~ ヤコブス・デ・ウォラギネ著

Praeputium Domini 私見 (前 田敬作氏)
上記サイトからの転載です。非常に興味深い内容ですので失礼ながら、そのまま転載させて頂いています。
キリスト教で聖遺物(reliquiae)とは,聖人の遺骨や遺品のたぐいをさす。聖人の宗教的偉大さは死後もあらたかな霊験をさずけてくれるというので,これを崇敬する。このような習慣は,仏教においても盛んである。
 中世は,キリスト教の聖遺物収集が花ざかりの時代で,とくに十字軍の遠征で聖地パレスティナや小アジアの士を踏むと,ここは聖遺物の宝庫であった。われ先にとおびただしい数の聖遺物を西ヨーロッパへもち帰ってしまった。そこでオリエントの抜け目のない商人たちは,聖遺物の贋造に精を出すことになる。にせ聖遺物の数は,真正品のそれよりはるかに多かった。十字軍の時代にヴェネツィア商人とならんで一番甘い汁を吸ったのは,コンスタンティノープルの聖遺物製造業者たちであった。
 表題のPraeputium Dominiは,「主の前の皮」の意のラテン語である。「前の皮」は,口語聖書の訳語で,最近出た新共同訳聖書ではそのものずばりに「陽皮」または「包皮」と訳されている(英語foreskin)。ユダヤ教徒の男子は,生後まもなく〈割礼〉を受け,包皮の一部を切除しなくてはならない。神ヤーウェの律法なのである(出エ12:40-49)。当然のことながら,おさな子イエスも,生後8日目に割礼を受けた。教会では,主の無垢の血が人類のためにはじめて流されたことを記念して,降誕祭の8日目にあたる1月1日に〈主のご割礼の祝日〉を祝う。
 ところで,このとき主キリストの前の皮から切除された聖肉片,この超絶的聖遺物は,どこへいったのであろうか。
 キリスト教的ヨーロッパの開始者カール大帝(742-814)は,第1級の聖遺物を集めていた。彼が宮居したアーヘン(オランダ・ベルギーとの国境にあるドイツの町)の大聖堂には,おん母マリアの聖衣,おん子イエスの聖むつき,聖腰布,ヘロデ王に殺された洗礼者ヨハネの首をくるんだ布などの逸品がそろっていて,中世期を通じて巡礼の列が絶えなかったほどである。カールが情熱的な聖遺物収集家であることを知った天使たちは,天国に冷凍保存してあった主の聖肉片を彼のもとにとどけた。大喜びした大帝は,早速これをアーヘンの聖母教会につつしんで埋葬した。ところが,彼は,その後気が変わったのか,聖肉片をゴシック聖堂で知られるフランス中北部の町シャルトルに移し(ここにはマリアの聖肌着がある),さらにローマのラテラノのサン・ジォヴァンニ大聖堂にはこんだ。この聖堂は,「諸教会の母にして首」と呼ばれ,教皇みずからが司教をつとめるカトリック最高位の教会である(ヴァティカンにあるサン・ピエトロ大聖堂が最高位なのではない)。この聖堂につづいてラテラノ宮殿という教皇の住居があり,そのなかに至聖所小聖堂という礼拝堂がある。主の聖肉片は,この礼拝堂におなじく主の聖へその緒および聖靴とともに安置されていた。
 ところが,1527年神聖ローマ皇帝カール5世(位1519-56)麾下のドイツ・スペイン軍による凄惨な〈ローマ掠奪〉のさい何者かが聖肉片を盗み去ってしまった。この聖遺物中の聖遺物をめぐって,まもなく各地の教会や修道院などが再発見の名乗りをあげ,すさまじい真贋争いがまき起こり,なかには今世紀の初頭まで崇敬されていたものもある。それらの教会や修道院の数は,500を下らないという。聖肉片1個の重さが1ミリグラムだとしても,それらを合計すると,おさな子イエスは,なんとも巨大な聖おちんちんをもっていたことになるではないか。
 私見によれば,再発見されたという聖肉片は,すべてにせものであって,本物は,天使たちによってふたたび天国にはこび去られたのである。
 以上は,ジェノヴァの大司教ヤコブス・デ・ウォラギネによって集大成されたキリスト教聖人伝説の白眉『黄金伝説』の拙訳からのこぼれ話である

中世においてベスト・セラーであり、アッシジの聖フランチェスコ聖堂の壁画のテーマとされたり、私が調べていて何度もその書名を聞いた聖人伝であるジェノバ市の大司教であった福者ヤコブス・デ・ウォラギネによる『黄金伝説』ですが、絶版なんですよ~(号泣)。これがまた、困った。某図書館まで行って読むのも面倒だしなあ~。近場で借りれないかな・・・。日本で言うなら、「日本霊異記」とか「往生要集」みたいなもんかな?高校生の時に読んだ以来でうっすらとした記憶しかないけど・・・。シバの女王やマグダラのマリア、聖ジョージ、聖杯伝説等々に係わってくるし、読んでおかないとなあ~。荒俣氏や種村氏と友人だったら貸してもらえるのに・・・(オイオイ)。洋書なら入手可能かな?調べてみようっと。

あと、この引用文に出てくる聖遺物もなかなか関心をそそるものだったりする。シャルトル大聖堂には、イエスの包皮の他、マリアの肌着もあるし、第二回十字軍の決起を呼びかけた地でもあるしね。なかなか一筋縄ではいかない、とっても怪しい聖地だったりする(ニヤニヤ)。もっと情報が欲しいなあ~。フルカネリの「大聖堂の秘密」とかになんか出てこないかな?あれも入手しないとなあ~。お金と暇な時間が必要ですね、趣味に生きるには・・・。

黄金伝説 中世の写本
The Golden Legend: Readings on the Saints 「黄金伝説」 獲得までの経緯


posted by alice-room at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 【備忘録A】 | 更新情報をチェックする
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