文章は非常に読み易いです。一読するだけで、表面的な意味は理解できると思います。これは難解な神学の解釈本ではなく、あくまでも普通の人が読む事を対象にしているのでそういった点では、万人向けの本とも言えるでしょう。
自らを驕(おご)ることなく、また過剰に自らを恃(たの)むことなく、淡々と日々を処していくその姿勢には、非常に理想的で素晴らしいものがあるかと思います。
これは、格別キリスト教特有なことではなく、禅宗でも同様に言われることでもあり、宗教にある種普遍的な考えでもありますが、全ての生存活動を競争と位置付けるものとは対極的でもあります。
人としての思いやりなどの美徳にも通じる反面、向上していこうとする『種』としての本能や生き物としての摂理にも反するのでは(?)と私個人には感じられる点も多々あり、正直納得がいきませんでした。
部分部分には、共感できるものがたくさんあったのですが、部分を採り上げて論ずることは、こういったものの場合、我田引水や牽強付会(けんきょうふかい)の恐れもあり、また著者の主張も全体をもって初めて一つの意味を有すると思われることから、本書は私には価値が見出せませんでした。
元々、本書の存在を知り、読んでみたいと思ったのは亡くなられた先代のローマ教皇ヨハネ・パウロ2世が死の直前まで本書を読まれていた、というニュースを聞いたので関心を持ったのでした。
う~ん、あの方の謙虚さと行動力が本書にどう結びつくのかが、キリスト教門外漢の私には最後まで分かりませんでした。改めて私は俗物なのかなあ~?ということを気付かされるばかりでした。
プロテスタントでも辛いのではないでしょうか本書は。カトリックでないとなかなか価値を見出しにくいのではと思います。
でも、聖書についで世界ではもっとも読まれた本と言われているそうです。う~ん、わかんない?
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