2012年01月29日

「言葉にして伝える技術」田崎真也 祥伝社

読んで少し時間が経ってから、この書評を書いているので最初、読んだ時の感じとは少々トーンダウンしているのですが、それでも本書は、改めて気付かされることが多いです。

以前にもこの著者の本を読んだことありますが、やっぱり一流の方は違うなあ~と思わされます。

当たり前のことを当たり前に愚直に、且つ着実に継続して行っていく。本当に人として見習いたいと思うことに多々気付きます。

昨今、グルメブームなどでしょうもないコメントがTVや雑誌で氾濫し、口コミなんかに踊らされたりするこの頃ですが、著者は、単純にそれを否定するのではなく、そもそも表現として、伝えるべきものを伝えているのか? 

具体例を挙げつつ、その表現が何も伝えていないことをロジカルに説明します。と同時に、では、いかにして伝えようとするものを表現するのか? そこまで突っ込んで説明していきます。

「産地直送」「肉汁がじゅわ~っと・・・」「こんがりキツネ色・・・」
等、料理の味そのものを伝えないで、自ら考えることなく、ただ慣用句的にあり、単語を羅列しているだけの問題点とかね。

ともするとありきたりの批判に陥ってしまいそうですが、そうならないのがまたスゴイ!

目次を詳しく、手打ちしたのでそれを眺めるだけでも内容に想像がつきますので詳しくはそちらを見てね。

そうそう、ワインの味の表現にこれ見よがしにさほど味が分かっていると思われない人が、なんか「○○○の香り」とか言っていますが・・・、物を知らない私は偏見を持っていました。適当なこと言ってるのかと・・・・。お恥ずかしい。

ちゃんとしたソムリエは、他者が共有できる香りとして、
『「××の香り」と言えば、△△』
という1対1対応の対応表を頭の中に持っていて、それを踏まえて自分が過去に味わった記憶のワインと対照・照合しつつ、目の前のワイン等をそれに当てはめることで評価をしていくんですね。

と同時に、その味わい、香り等をき他者へ伝える為の道具として、それらの単語表現をきっちり、使いこなしている、そのことを初めて知りました!

逆に著者が、修行時代にワインそのものではなく、ワインの本を購入し、それらの表現する単語と内容の一覧表をせっせと手書きで作成し、それを覚えていった・・・という点に頭が下がると共に、強い共感を覚えました。

地道な努力が総合的に見て、結果的に最短経路になるというのはよくある話です。
私自身も未だに、手書きのノート取りますし、本読んでも参考になるのは、ノートに抜き書きしてますもんね。さらに、それをブログにキーボードでも打ったりしてようやく少しだけ記憶に残る程度。

ただ、この手のことを経て身に付けたものは、存外、応用がきいたり、何か別なことに関連した際にも生きてきたりするものです。ベストプラクティスに拘っているうちは、人マネに過ぎず、それ以上にはなれないのも事実のような気もします。

ちょい戻りますが、味や香りなどの感覚を言語化し、自らの脳内にデータベース化して蓄積。
新しいものに対しても、同様のルールで言語化し、過去のデータベースと照合し、共通点と差異点を明確化して、既存データベースに新しいものは追加していく。

また、逆に言語化した表現から、元の感覚的なものへ還元する、非常に興味深いです。

他にも嗅覚等、既存のものに頼り切って自らの感覚で判断する機会がなくなることで生かされなくなっている感覚などもあがっていました。

これは私的に言えば、嗅覚だけではなく、万事、人間は関心があるものにしか意識内で認識されないので、
身近な全てにおいて感覚を鋭敏にすることなのかなあ~と思いました。

カラーバス効果とかいう単語がありますが、あれもその事の限定的表現ですね。

逆に考えれば、意識次第で人は気付く事、世界を、視野を広げることは無限に出来るわけで。それを改めてやっていきたいですね。

新しい人との出会いもそうですし、見知らぬ土地への旅行、ジャンル的に読んだことのない本の読書など、今年は、資格試験の勉強はあまりしないつもりですから、そちらを頑張りたいものです。

本書は、そういったいろいろなことに気付かせてくれる本でした。個人的には読む価値有りかと。但し、平易に書かれていますが、それは実行してなんぼのものなんで、読むだけでは大した効果はないでしょうね。たぶん。
【目次】
第1章 その言葉は、本当に「おいしい」を表現できていますか?

実際には味わいを伝えていない常套的表現
先入観でおいしいと思い込んでいる表現
日本的なマイナス思考による表現

第2章 味わいを言葉にして表現する

ソムリエは、なぜワインの味わいを記憶するのか
香りや味の記憶は、機械化・デジタル化できない
感覚を言語として記憶する
言語化―コンピュータと同じ事を頭の中でしている
ワインの分析は共有できる言葉を使うこと
はじめて香りを意識する
香りを言語化していく
嗅覚を意識したことで、子供時代の香りの記憶が蘇った
味わいを記憶するうえで嗅覚が鍵となる
育つ環境の大切さ―テレビゲームは大人になってから
嗅覚を磨いたことで、気付いたこと
ワインの香り―具体的な表現
料理人もソムリエも、プロは頭の中で味を描けないといけない

第3章 五感を鍛え、表現力を豊かにする方法

なぜ五感を鍛えるのか
嗅覚の能力を意識する授業
俳句に親しむようになって感じたこと
嗅覚は、なぜ鈍感になってしまった?
大人になってからでも鍛えられる嗅覚
嗅覚を鍛えることで、表現力に与える影響
湖での五感トレーニング法
語学を身に付けるのと同じプロセス
ブラインゴ・テスティングの方法
自分で言葉をクリエイトする方法~コーヒーの場合
どう応用するのか~ラーメンの場合
フレーバー(風味)の大切さ
自分が感じたフレーバーを表現に用いる
本物の表現上手になるには
加点法で考える文化
人生やビジネスで役立つ表現力
言葉にして伝える技術――ソムリエの表現力(祥伝社新書214)(amazonリンク)

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posted by alice-room at 11:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 実用・ビジネスB】 | 更新情報をチェックする
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