2005年03月18日

「ネアンデルタール」 ジョン・ダートン著 ソニー・マガジンズ

nean.jpg昔、子供の頃に読んでた「失われた世界」やアマゾン奥地の森林や秘境への探検物を思い出してしまった。実際にアマゾン(イグアスの国立森林公園)にも行ったけど、子供の時に覚えたあの憧れは一向に衰えず、今でも心の中で燃え上がるように、忘れることのできない想い。そういったものを久しぶりに、熱く感じてしまいました。

まず、道具立てがなかなかGOOD! 去年NHKスペシャルで放送した「地球大進化 第六週」でもやっていたネアンデルタール人がもう、全面に出てくるんです。NHKのこの番組はずっと見ていて、とっても興味深かったのです。だって、類人猿から現代の人類に至るまで20種類の人類がいたらしいのですが、それは常に二者択一の分岐をしながら、勝ち残ったものがまた2種類に分岐し、どちらが生き残り、それがまた分岐し・・・といった流れを繰り返してきたそうです。まさに競争によって勝ち残ることによって得られた現在のホモ・サピエンスによる『繁栄』。

特に現在の人類と脳の容積や能力において、ほとんど差異の認められないネアンデルタール人とホモ・サピエンスを分けたもの・・・この小説でも触れ、NHKの番組内でも注目されている仮説として「言語能力の差(=発声器官、ノドの声帯の位置の違い)」もきちんと紹介されていて、非常に知的好奇心を刺激する読み物になっています。そして、本当に失われしネアンデルタール人を巡って、秘境へと旅立つ主人公一行。なかなかいい雰囲気です。秘境探検の基本パターンを忠実に追っているんですが、それが全体として良質な小説の為、嫌味にならず、安心して探検を楽しめる感じとでもいうのでしょうか?

勿論、前人未到の秘境での探検ですから、さまざまな困難が訪れ、命を危うくする危険に再三襲われるのですが・・・・。

ネタバレを避ける為に、後は伏せておきますが、探検物好きな人なら、きっと楽しめる作品です。著者はニューヨーク・タイムズの元記者で、ピュリッツアー賞受賞のジャナーリスト。彼が初めて書いた小説だそうですが、あちこち戦地を実際に行っている方だけあって、しっかりした状況描写とかも私は好きですね。読ませるだけの力量を持っているし、事前の資料調査とかも相当されているのがはっきりと分かります。最後の結末も、いいんじゃないかなあ~。現代に生きるホモ・サピエンスに対してもしっかり書かれていて、私は好感が持てました。我々は何故、生き残れたのか?・・・・いかにも、と納得してしまったりします。

私の友人でこういうの好きな人には絶対に薦める本ですが、人にもよるかな?科学的な好奇心がある人なら、きっと喜ぶと思います。本の帯にはスピルバーグの映画化決定というけど、映画になってるのかな?あまり覚えがないんですが・・・???

ネアンデルタール(amazonリンク)
ラベル:小説
posted by alice-room at 21:58| Comment(4) | TrackBack(0) | 【書評 海外小説A】 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
これですね!ネアンデルタール人に関する本。これは本格的な内容に感じます。ケーブベア-の一族はもう少しドラマに近いかもしれません。機会があったら読み比べてみてくださいね。
Posted by runanouck at 2005年07月26日 10:01
ケーブベア-の一族、ちょっと意識して探してみます。面白そうですよね。コメント有り難うございます。
Posted by alice-room at 2005年07月26日 15:15
このネアンデルタール人の頭蓋骨の写真はナショナル・ジオグラフィックでも紹介されてましたね。

今も色んな学説が出てきていて、すごく興味があります!本も探してみます。
Posted by Megurigami at 2006年02月26日 20:19
Megurigamiさん、ナショナル・ジオグラフィックで出ていたんですか、知りませんでした。それも見てみたいなあ~。
でも、同時期に存在していたネアンデルタールだけが淘汰されていったというのは、何故なのか?本当に関心がつきないですね! この本は図書館やブックオフでもしばしば見かけますので、機会があればどうぞ。
Posted by alice-room at 2006年02月27日 00:01
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