2005年02月24日

「アッシジの聖堂壁画よ、よみがえれ」石鍋真澄著 小学館 感想2

「アッシジの聖堂壁画よ、よみがえれ」石鍋真澄著 小学館 感想1
さて、感想の続き。

マッダレーナ礼拝堂には、アッシジの司教をしたテオバルド・ポリターノがパトロンとなって「マグダラのマリア伝」が描かれている。《ゾシマスから服を与えれるマグダラのマリア》、《マグダラのマリアの法悦》などでジョット工房の作とされる。マリア伝は珍しい主題だそうで、ヤコブス・デ・ウォラギネの有名な聖人伝集「黄金伝説」(1275年頃)に基づくこの壁画が最初の作例らしい。他にもマリア伝に基づく作品も多く、《マルセイユへの旅》などはその後のマリア信仰やイエスの血脈につながる過程を描いているとも思えて、何やら意味深に感じられてしまうのは、私だけでしょうか???でも、是非見てみたい作品ではありますね。

他にもなかなか渋い味のある作品が多いのですが、解説にも面白いのがたくさんあるので少々抜粋してメモ
磔刑図の変遷。磔刑図には、キリストが十字架上で目を開いている「勝利のキリスト」と脱力して目を閉じるタイプの「死せるキリスト」があり、聖フランチェスコはキリストの受難を強調し、その苦しみをともにしようとして、聖痕を得るに至った。それゆえ、サン・フランチェスコ聖堂に磔刑図が多く、新しいタイプである「死せるキリスト」への伝統が生まれたのは興味深い。また、この「死せるキリスト」にもキリストが弓なりに体を反らせて苦痛を表現するものと、体の重みで腰が引けたようになっている写実的なものがあり、この写実的なタイプがジョットにより、イタリア絵画にもたらされ、広く一般化したと考えられるそうです。

ジョット:
イタリア中世最大の画家。伝統的にチマブーエの弟子とされる。ジョットの傑作としてはパドヴァのスクローヴェ礼拝堂の壁画であり、晩年はフィレンツェの大聖堂主任建築家として鐘塔「ジョットの塔」を設計した。

サンタ・チェチリアの画家:
ウフィツィ美術館の「聖女チェチリアの祭壇画」から命名された画家。サン・フランチェスコ聖堂上堂の「聖フランチェスコ伝」最初の一場面と最後の三場面を描いたと思われる画家。

ジョットと言われてどっかで聞いていてずっと引っかかっていたのですが、やっと気付きました。あの《ジョットの鐘楼》のジョットです。確か80m以上の高さがあるんですが、すっごい美しいんですよ、外観が。私が今まで日本も含めて世界中で見た中では一番美しいと思う「塔」ですね、間違いなく!!勿論、初めて行った際には、朝早く開くや否やほとんど一番乗りに入り、誰もいない階段を延々と上っていきました。膝がガクガクしましたが・・・(年かな?)。下からの風の吹き抜けも凄かったです。しかし、しかし頂上から見下ろす風景は最高です。隣のドゥオーモにも勿論登りましたが、塔からだとドゥオーモが非常に綺麗に撮れたと思います(ちょっと記憶があやふやなんですけど・・・苦笑)。まあ、なんにせよ、ここの塔は絶対に写真に撮っておかないとね!相当数の写真をデジカメで撮りまくりました(笑顔)。でも、自分の写真も含めてネットでも画像を探してみましたが、あの色とりどりで鮮やかでいて白が際立つ美しさを表現できたものはありませんでした。百聞は一見に如かず。自分の目で見ないと。これだけは絶対にお薦めできますね。

聖フランチェスコ及びジョットに関するサイト
ジョットの鐘楼A
ジョットの鐘楼B
posted by alice-room at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 美術】 | 更新情報をチェックする
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