2012年02月12日

「猫物語 (白)」西尾維新 講談社

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【ネタバレ有り、未読者注意!】



だいぶしばらくの間、西尾さんの本は読んでいなかったのだけれど、アニメの偽物語を見て、映像の面白さと共にそれとは別種の面白さのある文章を読んでみたくなった。

バサ姐、いつのまにか髪切ってるし、眼鏡っ娘やめてるしさあ~。

そんなこんなで、久しぶりにamazonで検索してみると未読の本も何冊か刊行されているらしく、慌てて読み始めたところだったりする。

さて今回のお話ですが・・・。

まあ、何かしら暗いつ~か、重いところを陰に引きずりつつ、異様なテンションのノリで会話が進んでいく化物物語シリーズ(?)なんですが、今回の語り部は、当の委員長ちゃん自身だったりする。

優等生キャラが形式化し、形骸化し、確定し、定着したはずのあの委員長キャラが前面崩壊、否、全面崩壊しちゃったりするわけです。ちょっとショックー!!

何でも知っている羽川さんは、何にも知らないお馬鹿な羽川さんになってしまうのですよ・・・トホホ(涙)。

しかもみんなを無償の奉仕で助ける立派な聖人(並)な完璧性が見るも無残に、普通の人の情緒不安定に堕っしてしまう。

無垢な、無邪気な、inocence から、成長を通して大人になってのがこれって・・・・。

いやあ~結論から、暴露っちゃいましたが、HAPPY END なのですよ。この物語は、いろんな意味で普通じゃない委員長ちゃんが、嫉妬に狂って焼きもちやいて、あまつさえ、ありゃりゃぎさんに告っちゃうんですから。号泣しちゃうし・・・。

読んでるこっちが号泣したいですが・・・。

それと不思議過ぎるぐらいに、戦場ヶ原さんが大人になって、善人になってしまうのが・・・・まあ、「蕩れ」とか言ってる場合じゃなくなってるわけですが、これも成長なの?

大人になるのって、怖いですねぇ~。しばしば言われるように普通になる、丸くなるってこういうことなの?って思ってしまいます・・・。

しかし、本当に大人になったのなら、身体を使ってとかはさすがに申しませんが、自分の方が恩人として無理言える立場なんだから、ひだぎさんよりも虐待を受けて、可哀想な自分をより大切にしてねとお願いすることはできそうな気がしたりする。

そのまま同棲っていう手もあるし・・・。
同情心に訴えかけるというのは、真面目な人にほど効果的なんだけどね。特にアララギ君みたいなタイプには。

もっともそれでは、ハッピーエンドにならないのでしょうが・・・。

しかし、語り部が変わる、視点が変わる、それだけでこれだけ内容の、伝わる物語の幅を、多様性を表現できているのは、素直に凄いなあ~と思う。

シャーロック・ホームズを例示したりしているけれど、残念ながらミステリ・ファンではない私は、それも分かりませんが、著者らしさの一端が本書にはよく出ていると思う。

思わず、病院坂黒猫を思い出してしまったよ。

冷めたキャラ的には、どちらも通ずるものを感じてしまう。眼鏡っ娘で巨乳とかいう外形の相似性は置いといても、中身の冷めた感覚と深く沈められた感情。

従来の路線とは、かなり異なるものの、それ故に物語の世界観が広がった感があります。別な意味で良い子になった委員長ちゃんと優しく友人思いのがはらさん、後日談というかアナザーストーリーの外伝みたいな感じですね。

それでいて、全て本編にうまく絡ませて、内容を補完し、重層化させているので実に構成もうまい。

化物物語ファンなら、きっと満足することでしょう。

別な意味での不満は残るもののね。

何故、告白されてがはらさんを切って、よりお値打ちの元・委員長ちゃんに乗り換えないのか・・・とか。
一番必要とされる時に、一番恩義のある人に、何故、応えないのか???・・・・とか。

警察官の息子だから、正義感が強いとか無いし・・・・。現実に、私がそうだから。

確かに悪い奴は、信号無視とかでも全員死刑でいいとか、かなり愉快な、ある意味、究極のニ元論者のような思想を持っていましたけどね。学生時代の私。

無能な教師も、悪い友人も死んでいいとか思ってたし・・・うわあ~やな奴だね。

汚れきった社会は、みんな滅んでしまえばいいとか確信してたもんなあ~、アナーキスト一歩手前だったし。

まあ、そんなことを本書を読みながらつらつらと思い出していたりした訳でした。

こないだ読んだ橘玲氏の本に書かれていたのと、微妙につながるのだけれど・・・・。私も一つ間違えたら、勝間さんを礼拝する信者になってたのかもしれませんね。でも、どちらかというと、壊す方なんだけれどね。壊して作りなおす。

人が作ったもの嫌いだからなあ~。
未だに、それを延々とやってしまっていることに、自己嫌悪しつつ、壊しきれない不満との間で更に葛藤したりする。

いろいろと考えさせられるお話でした。

ん~こういうのもありだと思うし、著者自身がこういう作品を書いてくれたのは、読者として嬉しいことですね。ただ、同人誌的な二次創作臭がプンプンするのも事実。

全く異なった結末のアララギ翼も、自分で言ってるようにまんまアリで、妄想満載の思春期ノリの延長線も(既にだいぶ本文で書かれてますが)更にアリのような気がしないでもない。

二人きりで世界を放浪するなんて、いつの時代か分かりませんが、ヒッピーですかい?
さしずめ、今の時代だと、wikileaksとかで ボランティアとかしていそうですね。かなりリアル過ぎて怖いけど・・・・(笑顔)。

かなり意外な結末でしたが、面白い作品でした。

猫物語 (白) (講談社BOX)(amazonリンク)

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posted by alice-room at 11:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 西尾維新】 | 更新情報をチェックする
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