2012年02月26日

エビータ in 自由劇場(20120225)

昨日、劇団四季の「エビータ」のマチネを観てきたんですが・・・。

いやあ~良かった!
アルゼンチン国民にとっての精神的拠り所、国の聖母、みたいに慕われていたあのファースト・レディ「エビータ」を真っ向から、採り上げた作品でした。

以前、マドンナかな? 
映画で「エビータ」をやるってので大騒ぎになったんだよね。エビータ役にふさわしくないってんで・・・。
成り上がりで成功したという、類似点はあっても、あれと一緒にするんじゃない!ってね。

最初、ちょっと興味を持って予約を入れたのですが・・・。
正直、私はこの舞台観るまで、ここまで政治的な側面が出てくるとは思いませんでした。

野心を持ち、強い意志を持って、男性を利用して首都ブエノスアイレスに出てくるエビータ。
様々な男性遍歴を経て、着実に社会的階層を登っていき、ついにはファースト・レディにまで至る。
肉食系女子のはしり、でしょうか♪

ただ、どこでも新興勢力は毛嫌いされ、排除される力が働くが、大いなる野心でまさに各種の抵抗勢力を各個撃破していく。

その方法こそが、大衆(貧しき民)からの圧倒的支持による既存権力層からの収奪と富の再分配でした。

もっとも、大衆に媚を売る政治は、独裁政治につきもののパターン。
よく民主主義と独裁主義は別物と考える無知蒙昧の輩がいるが、民主主義はその決定手段として多数決を採用することが通常である以上、その行き過ぎた究極の形は、民衆多数が支持する独裁主義へ至るのは、むしろ自然だと思われる。

だからこそ、物事の意思決定としては、はなはだ効率が悪く、迅速性が損なわれ、無駄の多い三権分立とかを採用することで、民主主義の行き過ぎを抑制せざるを得なかったりする。余談だけどね。

そちらは置いといて、大衆からの支持を基盤とした独裁主義は衆愚政治の側面も併せ持つ。
熱狂的なカリスマへの支持は、大衆の求めるものを不断に与え続けなければならない。

舞台の中では、様々な産業の国有化、貴族達からの剥奪、エビータ基金設立を通じて、大衆へのばらまき政策がなかなか見事に演じられていた。思わず、民主党(?)とか思っちゃいましたよ(笑)。

マルコス大統領にしろ、サダム・フセインにしろ、出身地域や貧民層にはえてして、強力な支持を獲得していますからね。少数派では、一定期間以上の政権維持は難しいからね。

さて、国内を押さえた後、視点は外へと向かいます。
国内外に敵はおり、国際政治でも華やかな外交を繰り広げる為、ヨーロッパへの歴訪。

アルゼンチンは、イギリスからの独立へと歩んでいくわけです。

そうそう、このミュージカルの面白いのは、自らの為、同時に自分が以前同じ状況であった貧しい国民の為に、何かをしたい!!

自己の欲望(野心)と国民の為に何物かを成し遂げたいという思いが、混然と一体化していくところ。

と同時に、開幕初めから、登場人物達の行動に対して、醒めた講評を語るナレーター。

いかにもイギリス人らしい(アンドリュー・ロイド・ウェーバー)皮肉の効いた淡々として説明が、登場人物達の生の情熱・苦悩にオーバーラップした外からの評価として語られ、そこがまたなんとも興味深く、作品に深みを与えている感じがします。

もっとも、単純な私は、すぐに登場人物の方に感情移入し、涙流しながら観てましたけどね。

よくぞ、こういった政治を真正面から捉えたうえで、エビータという人物をミュージカルに仕立て上げたものだと感心させられました!

素直に面白かったし、胸が熱くなりました。

小さい自由劇場で真ん中ぐらいの席だったので全体もよく眺められたし、役者さん達との距離が非常に近くて、その辺も大変良かったです。

観客は圧倒的に女性が多かったですが、年齢層が高めの人が多かったですね。作品の性格によるものでしょうか、席は普通に全部埋まったいたようですけど。作品毎の顧客層の差異ってのも興味深いですね。

先月観たオペラ座の怪人よりもこっちの方が私には面白かったです(笑顔)。
大変満足しました。外国でも同じ作品観てみたいかも・・・と思いました。
posted by alice-room at 10:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 【芸術】 | 更新情報をチェックする
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