2012年03月04日

「書物輪舞」赤城毅 講談社

稀覯本を探し出す世界一の「書物狩人」が主役のシリーズの一作です。

各話完結タイプなので、どこからでも読んでいけるのが有り難いかもしれません。
主役と言っても基本、表に出ず、最後に種明かし、というか謎の説明役として登場し、必要な説明だけすると消えていく・・・そんな流れなので読み易いです。

何冊かこのシリーズ読んでますが、現実の国際政治に絡めて、その裏話的なものと稀覯本(書籍)がうまく相互に関連してなかなかに興味深い物語となっています。

「ゴルゴ13」と同系列と言えば良いでしょうか?
あちらは国際政治に絡んでの暗殺・殺人が主題ですが、こちらは広い意味での紙が主題で共に『情報』こそがキーとなっています。

まあ、現実のウィキリークスとか見ると、物語以上に現実世界の方が戯画的ではありますけど・・・。

では内容についても少々。

満州国絡みの話は、定番中の定番ですね。
革命の露と消えたロシア皇帝一族の話。

夢野久作の短編にもありましたね。あちらは今回の仮説とは別な方を採用し、それはそれで面白かったですのが、こちらもいい感じです。

あと、切り裂きジャック。
同時平行で読んでいる小説「時の地図」がまさに、そのまんま切り裂きジャック出ていたので私個人の中でオーバーラップして読んでいました。

他の作品もそうですが、必要以上に過剰ではなく、抑えた表現で淡々と語る文体(スタイル)は、結構、好きですね。

主役がでしゃばることなく、むしろ傍観者に近い立ち位置というのがなかなか良いかと・・・。

今回は、客室付きの温泉に浸かった後でゴロゴロしながら、読書を楽しみました(笑顔)。
そういうのにも合う一冊です♪

書物輪舞 (講談社ノベルス)(amazonリンク)

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ラベル:書評 稀覯本 小説
posted by alice-room at 20:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 小説B】 | 更新情報をチェックする
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