
全3部構成になっています。
上巻の半分以上まで読んでいる時は、全くSFなんて出てきません。ましてタイムトラベルの片鱗さえもありません。
19世紀を舞台にした、上品な推理小説を読んでいるとしか思われず、それはそれで面白くて、なんの本を読んでいるのかさえ忘れて、物語に没頭していました。
やがて、とってつけたように場面が転換し、最初、H・G・ウェルズとか出てくると何、これ、部外者が出てきた。単なるひやかしの登場人物で、メインには関与しないと勝手に思い込むほどの存在感の無さです。
しかし、全く異なる舞台が新しく語られるうちに徐々に、ウェルズが出しゃばってきます。
つ~か、少しづつチョイ役から、主役を取り巻く大切な役へと移行していきます。
しかし、最初の上巻との関連は、ほとんどなく、最初のは何?って感じがしばらく続きます。
それがまたまた、舞台が変わると、いつの間にやらSFっぽくなってきてビックリします!
ウェルズ、主役になっちゃうし・・・。アレレ???
タイムトラベル物、ではありますが・・・、これはかなり特殊なSFです。
色物ではなくて、むしろ、王道の推理小説のようで最初、著者はイギリス人かと思いました。スペインってのはかなり意外な感じでした。
好き嫌いが分かれるかもしれませんが、読み物として面白いと思います。
SF部分の方が、本書の場合、おまけのように思います。
私は前半部が特に好きでした。
ウェルズが出てくる部分もちゃんと読み物として楽しめますが、個人的には無くても一向に構わないぐらい。
そうそう小説の舞台は、19世紀ロンドン。
切り裂きジャックが思いっきり、本書でも活躍してます。つ~か、それを巡って物語が進展していきますので。
切り裂きジャックが捕まった世界。
捕まらなかった世界。
定番の古典的な時間理論を踏まえた話で、目新しさはありませんが、読み物としてはいいのではないでしょうか? 一気に読了できました。SFよりもむしろ、ミステリテイストでどんでん返し的なお約束もきっちり守られていますので、正統派の物語でしょう。
SFとしては、微妙な評価かと思いますけど・・・。
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