2012年03月14日

「トカゲの王 1」入間人間 アスキー・メディアワークス

tokage.jpg

「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」で大いにはまり、アニメの「電波女と青春男」も良かったのに・・・何故、これは駄目かなあ~?

期待していたのに、かなり駄作の範疇かと思われ、ショックを受けたりもする。

著者の真骨頂は、突飛な状況や新鮮なシチュエーションにあるのではなく、極めて日常的な普段着の生活の中で、人間心理のギリギリのネジを取っ払っちゃったような、それでいて極めて繊細で微妙なバランス感覚のうえで、奇跡的な均衡を保っているような・・・その脆い危うさの心理描写こそが非凡だと思ってたんですがねぇ~。

無理して、設定が日常から離れた段階で、こうも容易くその他大勢の作品以下にレベルが落ちちゃうのは不思議でなりません。

どっかで持ち直すかと、延々と期待しながら読んでましたが、最後まで心に響くモノが無かったです。
つ~か、著者の描く中で一番、個人的には嫌いな肉体的損壊の描写だけが目に付き、美しくないのですよ・・・これがまた。

同じ苦しみでも「責苦の庭」のような恍惚とした肉体のギリギリ感もなく、安っぽいゲームの緊迫感でしかなく、心に突き刺さらないのですなあ~。

あえて例えると、安物B級映画のスプラッターレベルかと。はななだ残念!

若いうちには誰でもが抱く、僕は周りとは違う、特別なんだ。っていう中2病のような戯言に終始し、目の色が変わるだけの痛い少年が、更に何か間違ったもっと痛い目に合う。

他の友人は、うっかりそれで死んでしまったりするし・・・。裸見られても気にしないいいとこのお嬢様もいるものの、人として論外だし・・・。

それだけで終わってしまう。
作中で触れられてる、『禁書』の亜流のパロでしかなないような・・・。

登場人物が、何もかも、誰も彼も、残念過ぎて堪りません!つ~か痛々しい限り。
特別な能力者を描かせたら、やっぱり西尾氏の方が何倍も上手かと。

もっと著者の得意な分野で活躍して欲しかったのですが、舞台を間違えてしまった感じ。つ~か、編集者のミス・リードっぽい感じですね。

これでは、今までの入間氏の評価が下がりかねないような・・・?
ファンとしては、大変残念な作品でした。

トカゲの王 1 (電撃文庫 い 9-22)(amazonリンク)

ブログ内関連記事
「僕の小規模な奇跡」入間人間 アスキーメディアワークス
「電撃文庫magazine vol.7(2009年5月号)付録」「4月それは-XXXX-」角川グループパブリッシング
「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」入間 人間 メディアワークス
電波女と青春男 第1~12話
posted by alice-room at 23:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 小説B】 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック