
イギリスの人、っていうと怒られるかな? アイルランドの人が1年間、お金を使わずに過ごしてみた実験的生活を綴った記録(もどき)の本。
その生活を踏まえて書かれているが、別に記録ではありません。
体験談ってところでしょうか?
著者は元々、有機食品関係の会社勤めていて、その辺に関心を持っていたそっち系の人。
食品の期限切れ等、食べれるのに捨てられたものを集めて有効利用したり、不用品の交換サイトの利用など、コミュニケーションを駆使して、お金を使わずに厳しい冬も乗り切っていく。
実験生活の開始と最後には、たくさんの人を集めて、無料でおいしい食事をふるまうパーティーを行ったり、まあ、正直マスコミ受けしそうな人です。
「大草原の小さな家」や「ロビンソン・クルーソ」的な完全自給自足生活を期待していたのですが、そういった系統の本ではありません。なんだかんだ言っても、立派に1年間、お金を使わずに生活して凄いことは、間違いなく凄い人だと思います。
でも・・・近頃良くいるエコ、エコ言って、エコバックを持参しつつ、エコバック製造にかかる諸費用を考慮できないタイプの人にもかなり近い感じがしてしまうのも事実。まあ、よくよく読むと著者自身もそういう人とは一線を置いていて、その辺は常識的判断をされている現実主義者でもあるのですが・・・でも、やっぱりフード・マイルとか正直、うざいなあ~と思ってしまう私がいたりする。
雑誌や新聞、マス・メディアで採り上げる環境トピックなんて、大衆迎合的な無知蒙昧の輩を煽って、別な消費に走らせるだけだったりするしなあ~。
車やバイクに乗り、毎日電気をつかって生活して、環境がどうのこうの言う人って・・・・まあ、他人事だし、どうでもいいのですが、少なくても人として信頼はしませんけどね。私は。
自国では原発を禁止・制限しておきながら、原発大国フランスから安く電気を購入しているどこぞの国なども『偽善』以外の何者でもないけど・・・。
著者の場合、そこまでのあざとさは感じませんし、自分なりのルールを作り、それを遵守するなど真摯な印象を受けますが、でも結局は、フリーライドの側面はゼロとは言えません。
そもそも著者は単にお金を使わないで1年間生活してみるっていう実験をしているだけですしね。
それ以上のものを求めるのは、また、周囲の勝手な思い込みでしかないのかもしれません。
あと、本書を読んでいて感心したと同時に、強烈な違和感を抱いたのは、あくまでも人の共同体、他人とのつながりの中で助け合い、協力し合って生活していく姿勢でした。
ん~、コミュ障ではないものの、他人とは距離を置きたいと思う私としては、とんでもなくキツイと思いました。たまに価値観の違う人と知り合い、話したり、飲んだりするのは楽しいけれど、それ以上に一人で何でもしたい、一人でいたい人なので職場で一人で黙々と仕事できない現状も好きではないぐらいだしね。
むしろ、世捨て人で隠遁生活したいぐらいなのに・・・・私の場合。
仕事してない時に、ずっとあちこちの図書館巡って、ひたすら本を読んでいた時の方が幸せだったなあ~。
本書はとにかく行動に移した、っていう点だけで十分に価値はあるかと思いますが、その行動原理は、いかにも今風で私には馴染めません。
食事を心配することさえなければ、いつでも自分が住むぐらいの家は自分で作れると本当に心の底から確信していたりするんだけどなあ~。実際、物作るの好きだしね。何でも、どんなものでも。
著者が何故、トレーラーハウス以外へ関心を向けないのかが、不思議なんだけど???
土地があって、材料の木があれば、なんとかなりそうな気がするけどね。
野菜類もある程度は、種さえ撒いとけば、なるもんなんだけどなあ~。
(虫がつくのさえ、いとわなければ・・・の話ですけど)
そういやあ~、ヒッチハイクとかも載ってましたが、そういうのも私は嫌い。
したこともないし、したいとも思わない。
それだったら、普通に公共交通機関を何故使わないのかが理解不能だったりする。
ひたすら歩けばいいし、歩いていけないところには行かなければいいだけだと思うんだけど・・・・。
普段、歩きか自転車の私などは、思ってしまったりする。
仕事や旅行では、電車・飛行機使うし。
確かに本書を読んで刺激を受けた一面はありましたが、違和感の方が多かったですね。
その人が楽しいやり方で生きればいいのでしょう。
私は、ひたすら本を読んでいるか、どっか旅してた方が本書の中の生活よりは、魅力的であると思いました。
あ~早く7月になって久しぶりにイタリア行きたい!!
【目次】ぼくはお金を使わずに生きることにした(amazonリンク)
プロローグ
1. なぜ「カネなし」を選ぶのか
断絶の度合い/負債としてのお金/負債がもたらす競争社会/お金かコミュニティーか――安心感の源/株式会社「地球」/売ることと与えることの差異/カネなしになる方法/「自分が変化になりなさい」
2.カネなし生活のルール
一、「カネなし」の大原則/二、「フツー」の法則/三、ペイ・フォワードの法則/四、尊重の法則/五、「化石燃料不使用」の法則/六、「料金前払いなし」の法則
3.準備を整える
ぼくの消費行動を解剖する/インフラを構築する
◆コラム: タダで物を手に入れる/ロケットストーブの作り方
4.無買日前夜
本番一週間前/無買日前夜、2008年11月28日
◆コラム:カネなしの通信手段
5.いよいよスタート
フリーエコノミー・パーティー
6.カネなしの日常
「貧困」生活第一週/カネなし生活の典型的な一日
◆コラム:洗顔化粧品なしで清潔を保つ
7.無謀な作戦
娯楽/パンクの問題/「スロー」ライフ
◆コラム:本と紙を無料で
8.カネなしのクリスマス
現金を持たないクリスマスとは/おおみそか/冷蔵庫への帰還
◆コラム:ヒッチハイクのコツ/環境への影響が小さい移動手段
9.空腹の季節
エネルギー枯渇の季節
◆コラム:食料の野外採集/キノコで紙とインクを作る
10.春の到来
斧をふるって/恋愛問題/二杯のお茶…/富と健康は比例するのか
◆コラム:セイヨウオオバコの花粉症対策
11.招かれざる客と遠方の同志
招かれざる客/海外にいたカネなしの同志
◆コラム:環境への負荷の小さい住居
12.夏
自転車に乗って/カネなしの夏の食事/タダのランチはない?/フェスティバルの季節/地元フリーエコノミー・コミュニティーの活用
◆コラム:タダ酒! /タダで楽しむ/タダで宿泊する
13.嵐の前の静けさ
野外食料採集の冒険/沈黙の一週間/メディアの嵐 ver.2.0
◆コラム:タダでファッションを
14.一巻の終わり?
フリーエコノミー・フェスティバル2009/続けるべきかやめるべきか(それが問題だ)/決心/フリーエコノミー・コミュニティーの長期的構想/夢と現実のはざまで
◆コラム:おむついらずの子育て/タダで月経に対処する
15.カネなし生活一年の教訓
他人を過小評価しないこと/中間地点としての地域通貨/地域社会の中での自給/将来に不可欠なスキル/与え合いの有機的循環/お金は手段の一つにすぎない/必要は発明の母/物の本当の価値/最後に一言
エピローグ
ラベル:書評
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。