
思いっきりアニメから入ったクチです。
ロボットアニメはそれほど好きじゃないので・・・・(エヴァとかパトレイバーとか過去は振り返らない)、アニメもしばらく放置していたのですが、黒雪姫のアバター(黒揚羽蝶)に惹かれてつい見てしまい、アニメを見るだけに留まらず、原作ラノベを全巻一気読みしてしまいました。
(仕事しろ、私。)
さて、アニメと同時進行レベルのクロム・ディザスター討伐までの話ですが、その頃までは、原作を読むことでアニメ化で省かれていた背景的な部分がよく分かりました。
原作の効用ですね。
と同時に、アニメで心憎いまでにくすぐる演出は、アニメ特有であることも分かりました。
(黒雪姫のツンデレではなく、デレデレ状態。ニコのあざといお兄ちゃん・・・等)
毎回最後の引きに至っては、次回を必ず見させる為ではあっても、文句無く、心に残ります。
まあ、その辺は映像としてはまる要素ではありますが、現実世界の閉塞感から、ニアリーイコールのもう一つの世界を求める、その心境は普遍的な人類の願いですね。
特に、現実の日本をオワコンと見なしたくないのに、見なしてしまいそうな、『経済大国日本』ってなにそれ?美味しいの? 状態ではねぇ~。今朝の日経にも中国政府系ファンドがトヨタの大株主になってるとか報道されてるしなあ~。
日本のこれからの世代が、はした金の子供手当てや教科書無償化の引き換えに、雇用や本当の教育機会を失っているのは、まともに考えれば、先が無いだけだからなあ~。
もっとも既に失われた20年と、10年一昔どころから二昔になり、かつての世界を席巻したサイバー・パンクの日本的ローカライズされた近未来なのかとこの小説・アニメ世界を誤解していました。私。
原作もアニメの最初も、SFの「ヴィーナス・シティ」の更なる、日本化(現地化)だと思っていました。
所謂、電脳世界を現実世界との重なりで、歪みであり、ストレスの解放区と位置づけるのは、定番ですが、ゲームとしての世界観に固定化するのは、新たな現代的な閉鎖主義の現われかと思ってたんだ。
就職場所を地元にする、買い物も地元のスーパーやデパート、卒業旅行も国内とか、どんだけ地元好き?つ~か、与えられた情報で外の世界を知っちゃった気ならまだしも、そもそも関心がないとか・・・。
窒息して、死にそうなぐらい息がつまりそうだけどね。
高校も大学も元からの友達がいないところだったし、転職を繰り返して根無し草の私が言うのもアレですが、絶望はあっても、空には無限の広がりがある、そういう観念的な表現好きだけどねぇ~。
白い鳩が一羽、天高く飛んでいき、それに憧れ、そこにある真なる自由(の世界)を求める、っていうのは、キリスト教的な神の至高の世界を求める象徴に、オーバーラップしちゃうんだけど、日本人はしないのかね?
だらだらと書き連ねてしまってますが、当初、この小説世界は、和製サイバー・パンクの再来だと思って、興味を持ちました。
でも、読んでいて感じた実感は、「少年ジャンプ」なんです。
みんなで集まって、協力し、助け合い、向上し合う事で何事かを成し遂げようとする、実にベタな日本的価値観の焼き直しが、装いを新たに、近未来ネットゲームという舞台設定の中で描かれています。
最大の禁忌、といいつつ、次から次へと「リアル割れ」していくのは、おいおい・・・でしょ。
もう一つの世界だけでなく、現実の世界と絡ませてしまったら、話の広がりが別な意味で狭くなるのに・・・・。
あっ、誤解して欲しくないのは、それが駄目って訳ではなくて、従来通り、読み手を捉え、ストーリー的に魅力もあり、キャラも立っていて面白いし、好きな作品ではあるんだけど、決してクリエイティブではない。
本質は、昔ながらの日本的価値観「和を以って尊しと為し」だったりする。
まあ、談合を壊そうとするのも、それを維持しようとするのもパラダイム的な視点から見たら、あまり差異を感じないっていうのが、率直な感想だったりする。
閉塞感を破る小説が、新たに従来ルール(既成の規制)の延長線上にあるのが残念です。
個人的にはこの作品世界、最初、すっごく衝撃を受けて、あの欧米で流行ったサイバー・パンクが攻殻機動隊ではなく、こういったゲーム世界という形でどう表現されるのか、大いに期待しまくってたので反動が出たりする。だって、世界観のブレイク・スルーではないんだもん!
ただ、過剰な期待を取り除いてみれば、ロリとツンデレ(もどき)、お姉さまキャラもいるし、美形男子に、駄目駄目君ともうその手の人達御用達といわんばかりの品揃えだからなあ~。
そりゃ、人気出ると思う。
幼馴染もいるし、やおいでもいけるし、ハカセ君までいるんだから・・・(笑)。
ケーブル直結が、そういう関係を示すとか、ケーブルの長さが親密度を表すとか、ごめん、マジ、どうでも良かったりする。大人になると、みんな汚れちゃうから・・・・。
まあ、読んでる分には良く分かるし、楽しかったのも事実。
そういやあ~、いじめられっ子の学校でのマイ・スペース(退避場所)というのが、人ごとではなくて、共感してしまったりする。私が学生だった頃は、屋上に出れないように施錠してあって使う人のいない屋上への階段スペースとか、図書室の裏の書籍整理用スペースとかによくいたような・・・?
ん?いじめられてたことはあまりないけど、人と一緒にいるのが嫌で嫌でしょうがなかったもんなあ~。
そりゃ、協調性ないと書かれるわ。そんな奴に学級委員をやらせる連中も狂気の沙汰だと思ったけど。
さて、普通のラノベとしての感想は・・・・。
非常にまっすぐ且つ、前向きな話でいいと思います。
なにをやっても駄目なの少年が、美しいお姉さん(先輩)に導かれ、一つ一つ目標をクリアし、成長し、何者もマネできない自己を確立する、ってな感じのお話です。
しかし、リア充もここに極まれりって、感じなのがねぇ~。
主人公の少年を取り巻く老若女が全て、主人公に好意を持つってのもどんなハーレム・ワールドやねん!って。
私は贅沢は言わない、黒雪姫だけで十分なのだけれど・・・。
付録付きの雑誌でも買おうかな?
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