2005年04月05日

NHKスペシャル「ローマ教皇、動く」(再放送)

タイムリーな再放送だったので見ていたんですが、頭で知っていたのと映像で見るのとは、全然違った印象を持ちました。なんていうか、今までの私の勝手な印象だと、対話とか平和と言ってもあくまでも精神的な面でしかないし、圧倒的な軍事力を持ち、自らの正義を信じて疑わない国に何を言っても無駄じゃないの・・・なんてことを漠然と思っていました。(今回のイラク戦争のことです)

正直ちょっと自分が恥ずかしいですね。あまりに訳知り顔に考えるだけで、ありとあらゆる努力を尽くして戦争を回避しようとしていた人々を理解しようとしていなかった自分が…。

ローマ教皇を初めバチカンがあれほどまで、積極的に政治行動をしているとは思いませんでした。イラクへの直接の働きかけや枢機卿の派遣、国連の会議場でのバチカンとしての発言、等々。裏で交渉をしているのは知っていましたが、想像以上に真摯で、その為には自らのメンツも気にせずにありとあらゆる手段をとっていることにも心の底から驚きました。

宗教的な争いや誤解・偏見を少しでも無くす為に、モスクに教皇として初めて入ったり、中東のイスラム教徒にとって呪わしい十字軍の過ちを認めたりというのも全てはそういう考えから出た行動・発言なのかと改めて理解できました。本当にそういう背景が分からないと、意味が全然異なってきますね。今回は久しぶりにNHKに感謝です。こういう良い番組は今後も是非作っていって欲しいですね!

以前、国連が国家間の調停役・仲裁役としての機能を果たせない中で、同様にイラク戦争回避に向けて苦悩するアナン総長を特集したNHKスペシャルも良かったですが、これもすごく内容のある作品です。

勿論、それぞれの国の立場であれば、総論賛成、各論反対というのが常に民主主義につきものですから、一概に戦争を仕掛ける国も批判できないんですが、バチカンはそれだけ行動していたんですね。それを再認識できただけでも見た価値がありました。不覚にもなんか感動して泣けてきましたもん。

勿論、この番組一つでバチカンは全て「善」だなんて思ったりはしません。あえてここには書きませんが個人的には納得していない部分もありますが、それではやはり、人間の良心で行動しているんだなあ~と感じました。他人との相違を見つけて問題にするよりも、共感できる価値を見出すほうがはるかに建設的ですから。

今の日本もまさに岐路に立っていますしね。自衛隊を海外の戦争に出し、安全保障理事国入りを目指すのは日本の立場として合理的で支持しますが、周囲の国はそうは思わないでしょう…。自衛隊を送るということは、既に戦争に参加していると見做されて当然ですし、反対デモをする中国や韓国の反応も日本人としてはいらだたしいですが、戦争中に身内を虐殺されたりした人々は絶対にその事を忘れないですから…。いくら日本が昔のことだと言っても、逆の立場なら忘れられるはずがありません。日本国内でも実例がいくらでもありますしね、京都の祇園祭の由来や都内の神田明神もまさにそうしたものですもの。

ちょっと話が飛び過ぎてますが、改めて現在の時代認識をする契機になりましたね。日本も茨の道を歩んでいくんでしょう。年金制度が破綻し、人口ピラミッドが今まさに崩れつつある中、歴史を目の当りにして興味深いです。あと、個人的には自分が生き残れるかも非常に問題なんですけど…???やっぱり、努力しないとなあ~。



posted by alice-room at 01:55| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 【その他】 | 更新情報をチェックする
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