
とっても有名な話ですから【ネタバレ有り】で書きますね。
この本では、パトラッシュの一人称(一犬称?)で書かれています。相変わらず可哀相なんだけど、TVの時に比べるとはるかに優しい。残酷な最初の主人が虐待のあげく、倒れこむと捨てたパトラッシュなのに、ネロの手当てで元気な姿を見ると、所有権を主張し、金をせびりとろうとする普通によくいる極悪人。本ではこれが無い。良かったね、パトラッシュ。と思う一方、なんか物足りなく感じてしまうのは・・・人間って不可思議?
残酷な主人は、無頼の限りを尽くしてさっさと死んでしまい、パトラッシュに再び出会うことがないのだから、喜ぶべきなのに・・・。実際、TVの方がはるかに面白い。アロアとネロの淡い恋心も紙面が少なくてイマイチ感情移入ができないし。おじいさんが亡くなるところもさらっとし過ぎていて・・・。TVではもう涙無しに見られる回が無かったもん。
あっ、でもラストの悲劇だけは一緒。ルーベンスの絵を見る最後の願いがかなって良かった!・・・じゃ、すまないでしょう。あんなに清く正しく生きているのにね。なんかヒドイよね、善人が必ずしも報われるわけじゃないというのを子供のうちから教えるというのもスゴイ話のように思うのですけど・・・? ネロの台詞が心に残る。「この絵を描いた人は、お金が欲しくて描いたわけでもないし、お金を払わないと見られない、そんなふうにして欲しいと考えるはずはないのに・・・(記憶なんで少し違うかもしれないけど・・・)」ルーベンスの絵を教会で見るには、お金がいるのです。当時の教会の拝金主義に対する強烈な当てこすりです。天使のような善人、ネロが最初で最後に述べる非難。心に突き刺さります。
でも、本よりはTVや映画の方がいいなあ~。あっちが好き。
フランダースの犬新潮文庫(amazonリンク)
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コメント、TBありがとうございます。
原作はかなり救いのない、内容のようですね。
私は日曜日の世界名作劇場ではフランダースの犬が一番好きでした。
ヨーロッパの階級社会の大きな壁を痛感した物語でもありました。
現実世界のネロとパトラッシュ(銅像)も苦労しているようです。
なんだか寂しいですね。
TBありがとうございました。
原作、読んだことないです。
アニメとはちょいと違うようですね。
(ラストは一緒でも)
悲しい話では「ごんぎつね」なんて好きです。
あっ、ごんぎつねも心に残る作品ですよね。私も好きな作品でした。