2006年12月07日

「古本道場」角田 光代、岡崎 武志 ポプラ社

岡崎氏が古書の世界を知る為と称して課題を出し、それに則って角田氏が古書店を巡る形式を通して、古本の世界を知るという内容の本です。

この手の世界を全く知らなかった手合いの方には、新鮮で興味深いかもしれませんが、個人的には甚だ不満が残る本というのが私の感想です。勿論、古書市場で価格の高い本が良いのではなく、自分が気に入ったもの、価値を見出したものこそ価値のある本という考え方には共感を覚えますが、それでさえ当たり前過ぎることでそれを分からない人には、逆に何を言ってもそもそも無駄かと・・・。

また、本書内で紹介される本のジャンルもサブカルチャーが好きとかいう角田氏もあくまでも不特定多数の読者を念頭にしている為、正直期待外れもはなはだしく、キューバで本を買ったぐらいで何を言っているんだろうかと個人的には呆れてしまいます。うちには読めもしないのにヴェネツィアの古書店で買った本やプラハで買った辞典らしきものがあるぞ!ってネ。

仕事の出張中であろうが、旅行中であろうが古書店を見かけたらまずはのぞいて品揃えをチェックするのは基本でしょうに! まして、狭い地域から外に出ないなどという人物の古書マニアはエセじゃないかなあ~って。

ネットや古書店マップに出ていないレアな古書店を探すために、どこであろうと徒歩で街中をうろつくのは基本でしょうに。私はそれで全国古本屋地図に出てない店を何件も見つけたぞ!

また、ネットで探すことはあまり触れられていませんが、あれもただググれば出てくるものでもないのでそれなりに検索のノウハウを知らないと駄目なのにそれを紹介していないのは残念な気がします。

私も古書店は好きですし、古書市もあちこち出掛けますがそれらの面白さはやっぱり紀田順一郎先生の本が一番でしょう。本のお話だけなら、荒俣氏の方がはるかに知的好奇心をそそります。

なんか読み易いんだけど、いらいらしてしまいまして・・・。欲求不満気味。ついこないまで毎日馬場の古書店街をうろついていた私としては、もうちょい面白い話を期待していただけにあ~あ、残念。

地域色があったり、時代の先端の古書店紹介もいいが、本質的なものの説明が足りないんじゃないかなあ~。もっと、古書店巡りの楽しさ自体を紹介する本が読みたいと思う今日この頃でした。

古本道場(amazonリンク)
【目次】
入門心得
神保町
なつかしい、あの本と再会
代官山・渋谷
代官山で知る古本屋の未来形
東京駅・銀座
夜のパラダイスよ、花の東京
早稲田
早稲田古本街で青春プレイバック
青山・田園調布
ついに階級特進!
西荻窪
西荻村を満喫
鎌倉
土地柄と値段を学ぶ
ふたたび神保町

関連ブログ
「古書店めぐりは夫婦で」ローレンス ゴールドストーン, ナンシー ゴールドストーン 早川書房
「古書街を歩く」紀田 順一郎  新潮社
「古本屋さんの謎」岡崎 武志 同朋舎
「古書法楽」出久根 達郎 中公文庫
「本棚が見たい!」川本 武 (著) ダイヤモンド社
ラベル:古書 書評
posted by alice-room at 18:43| 埼玉 ☀| Comment(4) | TrackBack(0) | 【書評 本】 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
まあまあ。気持ちは分かるが、そんなに興奮しないで。
Posted by oldbookseller at 2006年12月07日 20:58
やあやあ、お久しぶり。ゴルフだけではなく、ちゃんと本も読んでますか?(笑)
古書店巡りもしっかりやってるでしょうが、せどりと同時に濫読もお忘れなく!
Posted by alice-room at 2006年12月08日 22:07
まあ、結局は素人向けの本ですな。
古書オタには不満しかない。
Posted by 愛書家 at 2008年04月14日 01:23
おっしゃる通りです。もしかしたら、一般向け以前のレベルかもしれません。
Posted by alice-room at 2008年04月14日 21:21
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