2006年12月08日

「悪魔とプリン嬢」パウロ コエーリョ 角川書店

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非常にシンプル。児童書と言われたら、そうなんだと納得してしまうぐらい平易な文章。しかし、そこに描かれる主題は非常に示唆に富み、読むものを考えさせずにはいられない深みを持つ。

世界中のどこにでもありえる社会。日常の延長線上にあるような、とある村で期せずして大した苦労もなく大金を入手する機会が訪れる。平凡だが罪のない(と思っていた)人々が「善」と「悪」の狭間で揺れ動く姿はまさに私達自身に他ならない。

ちょっとしたきっかけさえあれば、容易に人は「善」と「悪」をそのまま等価交換してしまう危うさが描かれています。天使と悪魔の闘いは、すぐ日常に転がっているのに気付くでしょうか? 自己正当化の理由なんてものはいくらでも後から付けられますが、何があっても自己を貫ける人は希少な存在でしょう。

そういう意味で私には非常に難しい本だと思いました。ただ、私だったら悩まずに一枚の黄金だけもらって逃げますけどね! 自分の良心さえ痛まなければ、たかが国家や組織のルールなどかりそめのモノに縛られることはないからね。まあ、私自身の場合ですけど。

人によって無限の解釈ができるので面白い本かもしれません。ただ、ちょっと疲れる、っていうか考えさせられてしまう本でした。

悪魔とプリン嬢(amazonリンク)

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ラベル:小説 書評
posted by alice-room at 20:46| 埼玉 ☁| Comment(4) | TrackBack(1) | 【書評 海外小説A】 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>人によって無限の解釈

この人の作品はそうですね。

こちらは昨日からぐんと寒くなってきましたよ。
でもクリスマス市に行って来ました。
ホット・卵リキュールなんか飲んじゃったりして、ボーッと。。。
Posted by seedsbook at 2006年12月11日 15:39
本当にそうですね。この本の場合、時間を置いて読み直すたびに違った解釈さえしそうですね。読み手に応じて変化していく感じです。

そちらも寒いですか。お風邪などめしませんように。ホット・卵リキュール、体が温かくなりそうですね。私の場合だと鍋かな~? 昨日は、友人たちと忘年会でした(笑顔)。
Posted by alice-room at 2006年12月11日 20:03
TBありがとうございます!
>たかが国家や組織のルールなどかりそめのモノに縛られることはないからね

イェー!素敵です。それに比べ私など右往左往しそうです…

どうぞまたいらしてください!
Posted by タカシーニョ at 2007年03月14日 21:18
タカシーニョさん、おはようございます。こちらこそ、コメント有り難うございます。
私もえらそうなことを言っている割にどこまでそれが貫けているかといえば、はなはだお寒い限りです(苦笑)。ただ、志としてはそうありたいといつも願っています。
今後とも宜しくお願いします。
Posted by alice-room at 2007年03月15日 08:11
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