2012年09月17日

「西洋中世の男と女」阿部謹也 筑摩書房

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どっかの古書市で購入して、放置しておいたもの。部屋の掃除中に発見したので読んでみた。

う~ん、阿部氏の本は、私的にはとっても面白いものが多いのだけれど、本書は私の趣味に合わないなあ~。
男と女の関わりという観点から、中世社会を浮かび上がらせていくという視点は良いと思うのだけれど、なんとかいうか新鮮な驚きがない。

読んでいて目から鱗でなるほどなあ~、そういう点から中世社会をより良く分かったような気にならないのですよ・・・・。本書読んでもね。

男女間の関わりから、中世キリスト教的世界観、ひいてはそこから紐付く中世美術とかゴシック建築とかに結び付くと面白いのですが・・・・エミール・マールの図像学のように・・・・。

そういうのがなくて、ただ、通り一編の説明レベルで終わってしまい、深く掘り下げ、それが当時の時代のどういった面へ広がっていくのか、そういう点が珍しく本書ではあまりなかったりする。それが物足りなくて読んでいてつまんない。

冒頭、フックスの「風俗の歴史」とか「緋文字」について触れられていましたが、フックスの「風俗の歴史」の方が興味深いですね。まあ、方向性が違いますので一概に比較すべき対象ではありませんけど。
【目次】
第1章 『緋文字』の世界
第2章 古代・中世の宇宙観のなかの男と女
 古代人の宇宙観
 ローマ人の男女関係
第3章 聖性の形成・解体と聖職者・女性
 ユダヤ教と男女関係
 初期キリスト教と男女関係
 聖なるものの変質
第4章 聖なるむすびつきとしての結婚
 ゲルマン人の結婚
 教会に管理される結婚
 贖罪規定書から
第5章 娼婦たちと社会
 娼婦の位置
 娼婦と娼婦宿
第6章 中世の男と女にとって愛とは何か
 聖性の呪縛の下で
 個人の誕生
西洋中世の男と女―聖性の呪縛の下で (ちくま学芸文庫)(amazonリンク)

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「中世の星の下で」阿部 謹也 筑摩書房
「中世の窓から」阿部 謹也  朝日新聞社
「刑吏の社会史」阿部 謹也 中央公論新社
「甦える中世ヨーロッパ」阿部 謹也 日本エディタースクール出版部
「図録 性の日本史」笹間 良彦 雄山閣出版
「風俗の歴史 6」フックス 光文社
「売春の社会学」ジャン・ガブリエル・マンシニ 白水社
ラベル:書評 西洋 中世
posted by alice-room at 20:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 歴史B】 | 更新情報をチェックする
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