2005年04月14日

「ラー」高野 史緒著 早川書房

ra.jpg出版社で本の内容をどうこういうつもりはないのだが、一般的な傾向からしてあそこの出版社の出す本なら、このレベルは大丈夫だろうという目安があると思う。少なくとも私の中で早川書房のSFなら、ある程度安心して読める目安であった・・・。しかし、この本を読んでそれは間違いであったことを痛感した。

正直言ってこの本は、SFでもなんでもない。全然必然性がないのに、単純に過去の一定の時期に現代人を送って、現代人の視点から過去の事物をとやかくいう安易な設定。一番低俗でくだらないパターンをやりたいが為に、タイムマシーンを持ち出すあたりが最初のくだらなさ。勿論、タイムマシーン自体の物理的な特性や背景も一切触れず、幼稚園児の空想レベル。お粗末過ぎて絶句した。

さらに、いきなり周囲に浮いている現代人を既定の事として受け入れて世話するエジプト古代人。はあ~、頭のネジが5、6本飛んでませんか?と編集者に問い質したい。少なくともSFマガジンにこんなの載せたの?あ~あ、ガッカリ。個人的にはSFマガジンとか評価してる雑誌なんですが・・・。アニメのイノセンスに負けてますよ、既にその世界観も含めてあらゆる面で(当たり前か)。

著者が書いているように、エジプトが好きというだけらしく、中身には全く価値を見出せないです。装丁だけ綺麗なのに・・・値段も無駄に高いし、ほとんど詐欺。こんなの読むより、東京博物館の東洋館でミイラ見てたほうがはるかに勉強になります。本で読みたいなら、有名な「医師シヌヘ」の方を絶対にお薦めします。ミイラの作り方とかどきどきもんですし、全体のストーリーも非常に良く出来てる古典ですしね。

しかし、最近のエジプトものはつまらないものばかりで悲しいな~。もっと夢があって、人類の叡智を集めたアレキサンドリア図書館があったところなのにね。イシス信仰の本場だし、某本によれば、イエスはエジプト由来の魔術師だ、なんて説まであるくらいなのに・・・。

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posted by alice-room at 21:46| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 小説A】 | 更新情報をチェックする
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