
ずっと&ずっと探してようやく原点(且つ原典)を見つけました!!
うちのブログでだいぶ前から出てきた単語に「光の形而上学」というのがあるのですが、最初のゴシック建築と言われるサン・ドニ修道院長シュジェールを支えた思想的背景がまさにこれだったりします。
偽デュオニシオス文書として知られるもののうち、この光の形而上学を述べているのが本書で初の邦訳である「天上位階論」だったりする。ようやく見つけたぜ(ふっ、ふっ、ふっ)。
とにかくシャルトル大聖堂を理解するには、ゴシック建築の理解が欠かせないし、その為にはそれを生み出した思想的な背景を知らないでは本当に理解したことにはならないもんね! いろんなことを知らねばならないから、ステンドグラスを楽しむのも大変。勿論、何にも知らなくても本物さえ見れば、ただただ感動なんだけど、それだけで満足するほど私は単純ではなかったりする。
今度は、たくさんたくさん勉強して分かったうえで更にあの神秘的なまさに「神々(こうごう)しい光」の中で感動するんだもん!ってね。
前置きはこのくらいにして、確かに一度読んですぐに完全に理解できるような生易しいものではありませんが、読めば確かに「光の形而上学」をなんとなく分かったような気がします(すみません、薄っぺらな理解で)。人はそれぞれの分をわきまえたうえで物質的な美を実現することで、神の領域へと徐々に上昇していけることを述べられています。
ちなみにここで述べられている位階がその『分』にあたり、ここからあの階層を表す「ヒエラルキー」の語源が来ているそうです。へえ~、ちょっとしたトリビアです。
とにかくゴシック建築好きなら、分からないなりに押さえておきたい資料かと。他にもなんかいろいろ貴重な資料が満載です。私は、この部分しかまだ読めていませんが、英語にも訳されていないものが原典のギリシア語やラテン語から直接日本語なんてのもあるようで、結構凄いみたいです。
ただ・・・やっぱり値段がネック。本書一冊だけだったら、高くても買って間違いなしと言いたいとこですが、これって全集もので全20冊だって。一冊買ったら全部欲しくなるんじゃない?
か、買えない・・・。澁澤龍彦全集や集成で無理して買ったけど、そこまでして買う気はさすがにないなあ~。でも、本書だけでも買おうかな? ものすご~く悩んでます。一万円以上の価値は絶対にあると思うのですが、他の本を買う資金が・・・。パトロン募集中ってなわけにはいかないか(涙)。
でもでもいい本です。間違いなく。
【目次】中世思想原典集成 (3)(amazonリンク)
エウアグリオス・ポンティコス『修行論』
ネストリオス『アレクサンドレイアのキュリロスへの第二の手紙』
アレクサンドレイアのキュリロス『書簡集』『キリストがひとりであること』
偽マカリオス『説教集』『大書簡』
ディオニュシオス・アレオパギテス『天上位階論』『神秘神学』『書簡集』
ヨアンネス・クリマクス『楽園の梯子』
証聖者マクシモス『愛についての四〇〇の断章』
ダマスコスのヨアンネス『知識の泉』
ストゥディオスのテオドロス『聖画像破壊論者への第一の駁論』
新神学者シメオン『一〇〇の実践的・神学的主要則』
ミカエル・プセロス『書簡/哲学小論集』
グレゴリオス・パラマス『聖なるヘシュカスト(静寂主義者)のための弁護』『講話集』
ニコラオス・カバシラス『聖体礼儀註解』
内容についての詳細なメモは以下の通り。
中世思想原典集成 (3)~メモ
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