
世界にも類のない美しい蘭の新種を作る、生み出せれた膨大な新種の蘭を日本の職人技の粋を極めた版画集に収め、世界中の大学等研究機関に100部寄贈することで日本の蘭栽培技術と版画技術の水準を世界に知らしめる。そんな雄大な目標(野望)に向けてひたすら行動し、実行していく信念のある人を映し出した映像でした。こういう人って凄いなあ~。南方熊楠とかにも共通する、不屈の精神、世界に伍していこうとする挑戦心、忍耐力、行動力。見習いたいことばかりが多いです。
ややもすると、自分に自信を失いかけ、それだけの努力もしていない姿が恥ずかしくなりますね。やはり、人生とは目標(願望)に向かってひたすら邁進しないと!私も頑張らねば。そんなことを感じさせてくれた番組でした。これはNHKのいい面が出た作りです。

~ 敗戦の翌年、昭和21年に出版された絢爛豪華な蘭の版画集「蘭花譜」。そこには京都の版画職人たちの誇りと、蘭に魅せられた男たちの、暗い時代に抗う強いメッセージが込められていた。
蘭を日本で最初に本格的に導入した大実業家・加賀正太郎は、正に「蘭にとりつかれた男」だった。膨大な財産を注ぎ込んで世界中から蘭を集め、日本最高の園丁といわれた後藤兼吉を新宿御苑からヘッドハンティングして、京都・大山崎の山荘で世界に冠たる新種の蘭の育成に熱を上げた。
そして40年に渡る蘭づくりの成果を、今の金額で数億円を投じて京都最高の版画職人たちを集め、計104種の蘭の絵から成る版画集「蘭花譜」に結実させた。200回以上の工程を積み重ねる多色刷り、絶妙な顔料の配合……「蘭花譜」は、日本の版画作品としても比類なき境地に達する“逸品”となった。
しかし、「蘭花譜」に描かれた美しい蘭の花々の多くは、今はもうない。加賀の死と共に、蘭のユートピアと呼ばれた山荘ごと霧散したのだ。混乱と貧困の時代に、この異常なほど高価で手の込んだ画集はなぜ作られたのか。番組は、60年ぶりに発見された版木からの復刻作業を縦軸に、蘭に魅せられた男たちの情熱を探る。~

~ 大山崎山荘は大阪の実業家、加賀正太郎が海外遊学の経験をもとに大正から昭和の初期にかけて設計、建設された英国風山荘です。イギリスの王立植物園、キューガーデンの洋蘭栽培に強い感銘を受けていた彼は、この地を自らの蘭栽培の地としたいという思いを抱いていました。大正初期から始めた蘭栽培は、第二次世界大戦最中の燃料不足などの苦労を重ねながらも、彼がこの世を去るまで、強い意志をもって続けられました。大山崎山荘は大戦前の最盛期にはおよそ一万鉢の洋蘭が栽培された、日本における蘭のメッカであったのです。
その彼の、蘭への情熱の結晶として今に伝わるのが「蘭花譜」(昭和21年)です。蘭花譜は加賀正太郎の指示のもと、大山崎山荘で育成された洋蘭の姿を後世に遺したいと願って作られた図版です。下絵は日本画家、池田瑞月に依頼、それを木版画刷りに起こしたものを中心に104枚から構成され、300セット限定で制作されました。友人である中村清太郎の手による油彩を印刷したもの、写真も数枚含まれています。
「蘭花譜は過去30ケ年に於ける余が温室の業績の一部の記録である。図版は厳重なる学術的記録として、一点一画もゆるがにせず、然かも其各葉を取りて之れを額縁にはさみ、壁に掲ぐる時は、一幅の絵画として、美術品として、観賞に値するものにする事が余の希望であった」(加賀正太郎「蘭花譜序」より抜粋)
また当時、大山崎山荘には多くの貴紳が訪れていますが、日本洋画壇を代表する川島理一郎(明治19年-昭和46年)もその一人です。彼は長く蘭をその作品の主題として描き続けましたが、大山崎山荘には昭和15-20年頃に何度か訪れ、蘭の作品を制作しています。
蘭栽培が行われた頃から長い年月を経て、美術館として再生し、平成16年、有形文化財に登録されたこの大山崎山荘において、「蘭花譜」や川島理一郎の蘭の作品を中心に紹介し、大山崎山荘の在りし姿を追っていきます。~
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関連リンク
大山崎山荘美術館
サイバー蘭花譜展
花の絵画館
あの蘭花譜を、是非一度、本物を見たくなってしまいました。
念のために断っておきますと、今回記事で取り上げたシャルル・レジェ『バラの画家ルドゥテ』は、絶版ではありません。ルドゥテの『バラ図譜』Ⅰが、品切れです。例の絶版画集の紹介ではありません。(苦笑)
あれは、冗談で書いたのですが、そんなに期待されているとなると、本当に書かなければならないのでしょうか。(笑)
素敵な記事にTBしていただきありがとうございました。また、よろしくお願いいたします。
でも、あの絶版になっているのも見てみたいです。高くてちょっと買えませんが、どっか公共の図書館で眺めてみたいなあ~。
今、買えるのは本屋でまずはじっくり見てみます(笑顔)。
ポタニカルアートつながりで、TBさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
花の図譜は、洋の東西を問わず魅力的なものが多いですね。
いろいろ買いたい本も多いのですが、なかなか思うようにはいきません。(苦笑)
腱鞘炎気味だそうですが、どうかご無理をなさいませんように。
腱鞘炎気味の件は、ご心配頂き有り難うございます。少しは自重せねばと、反省しております。でも、だいぶ良くなってきましたのでこれからは気をつけていきたいと思います。今後とも宜しくお願いします。