2006年12月23日

「ヨーロッパの歴史的図書館」ヴィンフリート レーシュブルク 国文社

ストラフ修道院付属図書館 プラハ

ヨーロッパにある図書館で歴史的な背景と蔵書を有し、一見に値するところを簡潔な説明と写真で紹介する本。結構前から興味を持っていたんですが、値段の高さから二の足を踏んでいた本です。

で、実際に読んでみると・・・。
う~ん、ここで紹介されている図書館は圧倒的にドイツ国内のものが多く、ついでチェコの図書館とかなり採り上げられているものには偏りが見られる。また、簡潔で若干冷めた感じの解説は悪くはないのだけど、端的に言うと物足りない。著者による率直な感想や思い入れが出てこないのは、かなり味気無さを覚えるのもまた事実だ。

観光地でパンフを見るような素っ気無さを良しとするかは、個人の好みにも左右されるかもしれない。私の場合は、あえてその点での付加価値がないのをマイナスに評価しています。

また、本書では図書館の美的な側面も評価の要素として紹介しているのにもかかわらず肝心の図書館の写真は、モノクロだったりする。これはいただけない。全然、図書館の持つ美しさが伝わらない&分からない。

本書を読んで行ってもいいかな?と思う図書館はあったが、強烈に是非行きたいと思った図書館はなかった。これは写真がモノクロであることにも大きな原因がある。あの美しいプラハのストラホフ修道院でさえ、本書の紹介ではぱっとしない。実に!実に!もったいない話だ。

目を通して悪い本ではないが、こんな高いお金を出して買うほどの本ではない。最低限カラーの写真を使用するべきだろう。そして、簡略な説明と自らが行った際に感じた『生』の良さが書かれていたら、本書は素晴らしいものになったかもしれない。しかし、現状はたいしたことのない本だと感じた。実に残念でしかたがない。

写真は、プラハで購入した絵葉書より「ストラホフ修道院付属図書館」
【目次】
序文

イスニー 聖ニコラウス教会図書館
ベルンカステル・キュース クザーヌス修道院図書館
ジュトフェン 教会図書館
チェゼーナ マラテスタ図書館
フィレンツェ メディチ家ラウレンツィアーナ図書館
リューネブルク 市役所図書館
ブジエズニツェ 城内図書館
ベルンシュタイン 城内図書館
ヴィリニュス 大学図書館
ヘリフォード 大聖堂図書館
オックスフォード ボドリーアン図書館
ケンブリッジ トリニティ・カレッジ図書館
ダブリン トリニティ・カレッジ図書館
ローマ ヴァチカン法王図書館
ゴータ フリーデンシュタイン城研究図書館
プラハ ノスティッツ宮殿図書館
ウイーン オーストリア国立図書館
レーゲンスブルク トゥルン・タクシス侯爵家図書館
ドナウエシンゲン フュルステンベルク侯爵家図書館
ポツダム サンスーシー宮殿内図書館
プラハ シュトラホフ図書館
ネーレスハイム ベネディクト会大修道院図書館
オットーボイレン ベネディクト会大修道院図書館
ヴァルトザッセン シトー会女子大修道院図書館
プラハ クレメンティヌム
メルク ベネディクト会修道院図書館
フォーラウ アウグスチヌス会司教座聖堂参事会図書館
アインジーデルン ベネディクト会修道院図書館
チェンストホヴァ 聖パウロ会修道院図書館
マリエンタール シトー会女予修道院図書館
ザンクト・ガレン ベネディクト会修道院図書館
アドモント ベネディクト会修道院図書館
ブダペスト 神学校図書館
エゲル 教育大学図書館
ワイマール ドイツ古典主義中央図書館
ゲルリッツ オーバーラウジッツ学術図書館
ベルン 市立および大学図書館
ワイマール ゲーテハウス図書館
ケストヘイ ヘリコン図書館
ツルグ・ムレッシュ テレキ・ボーヤイ図書館
サンクトペテルブルク サルティーコフ・シチェドリン図書館
カチーナ 城内図書館
キンジュヴァルト メッテルニヒ図書館
パノンハルマ ベネディクト会人修道院図書館
ヘルシンキ 大学図書館
クルニック 城内図書館
パリ サント・ジュヌヴィェーヴ図書館
ロンドン 大英博物館
パリ 国立図書館

訳者あとがき
図書館所在地地図
写真出典
参零文献
地名索引
ヨーロッパの歴史的図書館(amazonリンク)

関連ブログ
「世界の図書館」徳永 康元 丸善
魔女と錬金術師の街、プラハ
図書館のいろいろ(5月8日、日経朝刊の記事)
ラベル:図書館 書評
posted by alice-room at 01:21| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 【書評 建築】 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック