著者の感性と合わないのであろうか? 読んでいて全く面白さを感じないのが不思議なくらいつまらない。教科書以上に関心を呼ばない文章と言えば、より明確に私の感じが伝わるだろうか・・・。読みにくい文章ではないし、章ごとの導入部も一見して読みやすそうな感じではあるが、私に言わせれば、くだらない事柄に紙面を割く一方で、肝心の部分の説明はおざなり、大嫌いな文章スタイルの一つである。
何よりも、もっと&もっと興味深いはずの建築論なり、図像学なりについてきちんとした説明が欲しかった。読んでいて、私には全く意味が分からない文章であり、時間と紙面だけが進んでいく。本来なら、もっと興味を惹くであろう事柄が説明を読んでいると、なんかどうでも良くなってくる。学術論文を読んでいても、内容さえあれば、こんな気持ちになることはないんですが・・・。一見無機的な数式の羅列であっても、はるかに面白い論文等を私はたくさん知っている。
とにかく私の感性として、相容れないものを感じた。説明の重点の置き方が、私の考えるものと全く異なり、不要なところが多い反面、もっと詳しく説明して欲しいところは少ない等。聖堂に関する著書が多い筆者だが、改めてこの人が描いたものは今後、絶対に買うまいと思った。テーマとしては興味深いものが多いのに全くの期待外れ、著者の類書で値段が高いのに何冊か購入予定に入れていたが、全てキャンセルして正解だったかも。
なんか批判ばかりになってしまったが、本書で採り上げてるテーマは興味深いものが多いです。但し、読んでもつまらなかったし、説明に全然納得できなかったので個々に引用やコメントはする気にもなれませんが…。いくつかテーマだけ抜書きすると。
聖母マリアの衣―聖遺物崇拝
三つの薔薇窓の意味と象徴性
ゴシック建築におけるスコラ哲学的発想
《王のギャラリー》の意味(パリ、ノートル・ダム大聖堂)
迷宮の意味―建築家たちへの賛辞
面白そうでしょう・・・それなのにネ。この本は外れだったので、おととい購入した「ゴシック建築とスコラ学」(ちくま)に期待しましょうか。面白いといいなあ~。でも、その前に一緒に買った中公新書の「マグダラのマリア」を読まないと。
大聖堂のコスモロジー 講談社現代新書(amazonリンク)
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2005年04月18日
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