そもそも読み始めた動機が自己啓発本の『女王』でしたっけ?
一時、反カツマー本や自己啓発否定本もたくさん出てまさに人気絶頂でしたが(人気があるからこそ、アンチが存在しえるのは自明ですし、人気のバロメーターでしょう)、自分の感じた違和感がどこなのかなあ~と思いつつ、今回読んでみました。
読書の動機が不純ですね(苦笑)。
改めて読んでみると非常にロジカルであり、意識・無意識に関わらず、部分・部分(すぐ行動するとか、現状をそのまま一旦受け入れた上で次へつながるべく発想・行動するとか、継続的改善)は私自身も実践しているし、私自身の知っている範囲では叩き上げで役員にまでなった人やベンチャー企業のオーナーとかが実際にやっている行動や思考パターンと一致する点が非常に多いように感じました。
確かに『成功』するには、成功するべく行動することが大切なんでしょうね。
それは分かる。確かに努力しないで、怠惰な人をみると、すぐ排除したくなる衝動も十二分に理解し、共感する一方で、その盲目的な方法論というかそれを背後で支える思想・精神には、拒否反応を半端なく覚える。
だから、私は出世しないんだろうなあ~(自爆)。
先々月にも某役員に会社批判するなとたしなめられたし・・・・。
話を元に戻すと、そうは言っても自己啓発否定本のような、頑張ってばかりいると疲れる・・・とか誰もが成功者になれるわけではないとか、そういった論調にも納得できなかったんだよね。
でもって、本書を読みながら、今回、明確に感じたのは、『自己啓発』至上主義ってのは、それ自体一種宗教のような思い込みの賜物なんだろうなあ~っとこと!
人は皆、(機会として)平等で能力の方面は違っても、(同じ努力で成果の程度は異なっても)努力すると必ず向上し、幸せになれる。だから、努力しないのは怠け者であり、成功しないのは当然であり、成功しない以上、それは幸せにもなれない。
人は全て幸せにならなければならない。それには成功しなければならず、成功するには、成功すべく効率的に努力をしなければならない。
まあ、トートロジーになりそうですが、上記の論理が前提としてあり、その前提自体が何の説明もなく、天与の大原則として、信じ込むことから、全ての話がスタートしていたりする。
それを信じて、着実にその教義に従って修行をすると、着実に位が上がり、最終的には『極楽』にでも行ける、そういう次元の話ですね。
行き過ぎた信仰の下、荒行をする苦行僧にイメージがオーバーラップしちゃいます。
自己啓発でも上記の苦行でも、やがて脳内麻薬が出て、えもいわれぬ快楽が欲しくて更に困難を求めるのですが・・・(合掌)。
否定的な感想から入っていますが、目的を達成する為に効率的な手段を選択するという方法論としては、本書の内容はもっともだし、誰が読んでも参考になるかと思います。特に、この手の思考に慣れていない人やそもそも意識しないで生きてきた人とかだとね。
ただ、ビジネス上で有効な方法論をそれ以外の私生活等全般に拡大適用すべきかという点には大いに疑問を感じます。
例えば、本書でも盛んにご自分がやられている寄付のプロジェクトについて触れられていますが、何故、寄付の目標額を設定してより多く、より短期間に寄付金を集めなければならないのでしょう。
目標を設定し、それに対して、効果的なアプローチで行うことでたくさんの資金が集まり、より多くの慈善事業が出来るというのはもっともらしい理屈ですが、達成する事で得られる充実感を満たす為の個人的な満足の充実にすりかわっているようにも感じてしまうのです。
ひねた考え方かもしれませんし、必要以上にうがった見方かもしれません。
あるいは、結果としてそれでたくさんの良い事が出来るなら、そういう点も含めて結果オーライというスタンスも有りといえばありです。
寄付をしなくても、個人個人が自分の出来る事、日常の仕事でもいいと思います。一生懸命働くこと自体が社会に貢献していると思います。
あるいは、道端に落ちているゴミを拾う、でもいいでしょう。電車で席を譲ってもいいし。
でも、本書の考え方では、それを否定はしないまでも、常にそれ以上のものを求めるのです。
なんでって! それはそういうモノだから。そういう価値観であり、そういう『信仰』(信念)であるから。
つきあう人を選ぶ。
それは分かるのですが、自分にとって(例え、金銭以外の評価を加味しても)「得」か否かの判断基準がどうもひっかかります。それは個人的なものですから、どうでも良いのですが、一つの尺度で全てを測ろうとすること自体が既に、多様性・客観性を失っていることは考慮されず、ドンドン普遍化されて広げていくその様は、普遍をうたう某宗教の宗派に重なって映ります。
以上が私が本書を読んで、本書に限らず『自己啓発』について感じたことでした。
以前読んだ、大英図書館のエピソードだったかな?
毎日毎日、何十年も通い続け、いつも決まった席に座り、一日中専門書や研究書を読み漁っていた人は、どんな目標を持ち、どんな成果を上げたのか?
自分が学んだ事、研究した事をどこかに発表することもなく、ただただ、自分の知的好奇心を満たす為だけに勉強を続けたそうです。まさに名も無き人。
個人的には、そういう方が理想なんでね。
努力については、私もいささか『自己啓発』教のにわか信者ぐらいの素養があるので全面肯定ですが、成果を上げる為に頑張りましたってのは、浅ましい感じがしないでもない。
勿論、仕事ではそんなこと言ってられませんが、プライベートでも同価値観で判断する尺度しか持ち合わせていない人には興味無いなあ~。もっとも、偏っているのは私自身かもしれませんがね。
最近、知り合い増えていないし、増やそうともしていないしね。
読書量さえ、減ってきているし・・・・。
本書を読んで方法論としては、ほとんど出尽くした感のあるモノでなるほど~という刺激や気付きはありませんでしたが、何の為に行動するのか、特に『自己啓発』については自分の考えを再確認するいい機会になりました。
仕事以外については、私の場合、興味があるからする、学ぶというスタンスであることを確信しました。
これこそ、まさに個人的な『信仰』に他ならないですね(笑)。
あ~会社なんか休んで、来週は2600万円の本を見に行きたいです。
今回はさすがにどうしても休めず、行けないのが残念です。
でも、次の機会につなげるようにはしていきたいな。
哲学の本でも読もうか。本書よりは私にとって、よっぽど価値がある本だろうし。
【目次】起きていることはすべて正しい―運を戦略的につかむ勝間式4つの技術(amazonリンク)
はじめに:“メンタル筋力”と「運をつかむ勝間式4つの技術」
第1章:「偶然を幸運に変える」セレンディピティの技術
第2章:勝間式技術1【広げる】 あなたの潜在意識が目覚める!脳内フレーム120%活用法
第3章:勝間式技術2【絞り込む】 「99%捨て、1%の本質をつかむ」即断即決法
第4章:勝間式技術3【殖やす】 「4つのダイヤ」を引き寄せるパーソナル資産増強法
第5章:勝間式技術4【調和する】 勝間式人間関係の兵法――「5つのわがまま力」で年収が20倍になった秘密 おわりに:起きていることはすべて正しい
本文中に出てきた書籍&オーディオブック25
巻末付録1:運を切り拓く「勝間語」事典
巻末付録2:運を戦略的につかむ「勝間式グッズ」