
読後の感想はというと、買って正解だった。あちこち話題が散らばることなく、一点突破の勢いでマグダラのマリアに絞って説明をしまくるんです。これでもか、これでもかというくらいたくさんの絵画に描かれたマグダラを材料にしながら、時代毎にマグダラのマリアがいかにして捉えられ、理解されてきたのか、を丁寧に説明してくれている。詩や本に現われたマグダラにも言及していますが、95%以上が絵画に描かれたマグダラ。巻頭には新書には珍しく綺麗なカラー口絵が12枚(8頁ほど)も入っていて、ちょっと驚く。もっとも本文の内部では、いささか小さくて分かりづらいものの白黒の図版がさらに多数挿入され、それを見ながら解説を加えるというスタイルになっています。
私が購入する前に想像していたのは、この本の第一章で扱っているもので、マグダラのマリアが聖書の中ではどうのように描かれているか、外典ではどうか? 他の書物ではどう扱われているか? ということで、それだけをたくさん収集した本だと思っていました。しかし、実際は想像と異なり、そういった部分はあくまでも基本事項の確認みたいなもので、本書の大部分はマグダラのマリアを当時の人々がいかにして捉えたかの歴史的変遷を絵画表現から確証を得つつ、紹介することであり、そちらがメインの本でした。そこが私的には物足りなかった反面、これほどまでに多様なマグダラが西洋絵画に描かれているとは知らなかったので、大変勉強になりましたね。
そうそう、この本の中でおそらく一番多く引用されたり、引き合いに出されているのがこないだ購入した「黄金伝説」 だったのは当然かな~って思う反面、やっぱりもう一度読み直してみようと感じました。辞書無しで、粗筋だけを掴む読み方でしかまだ目を通していないので、よく理解できていないんです。それではもったいないと改めて思わされた(手に入ると、それで安心してしまうのも考えものだね、本は読んでこそ価値があるんですから)。もっとも、この本の中で引用している程度なら、既に私の作った用語集の項目に入っている「マグダラのマリア」レベルでも足りそうだけど…。
それはおいといて。この本で取り上げられているマグダラは、その幾つかはあちこちで見たことがあるのですが、改めてマグダラを描いていると意識して見ると、また違って見えるから不思議。さらに有名な画家が描いてるマグダラで初めて知る作品も多く、こんなの描いてるんだあ~っと率直に感銘を受けたりしちゃいます。あと、西洋絵画、特に宗教画には必須の小物の象徴するものとかは、よほど意識しないとねぇ~。展覧会で買う図録の解説とかにはよくあるけど。説明読んでる時は絵を見た後だし、見てる時は知らないしで、本当に象徴を理解して絵を見る機会って少ないからなあ。少なくとも、これからマグダラの絵を見る時には、役立ちそう。せっかくだし、ちょっとパスしようかと悩んでいたラ・トゥール観に行こうかな。マグダラのマリア観たさにというのは邪道っぽいですが・・・。
とにかく絵画の中のマグダラに関心がある人には、必須の本でしょう。相当内容が充実しています。反面、グノーシス派の捉えるマグダラ像とかには、軽くしか触れられていないので、そういうものを期待するとちょっと違うかなあ~と感じられるかも? 私的には手元に一冊置いておいて、美術館行くときにはちょくちょく参考にしたい本ですね。
う~ん、面白かったけど、不満が残る・・・。もっとマグダラのマリアに関する事知りたいんですけどねぇ~、いい本無いかなあ~???amazonとかで探してもこれという本が見つからないんだよね。Googleで探してもイマイチ知りたい情報が揃っているサイトがないみたいだし・・・。だったら、自分で作ればいいんでしょうが・・・文献は日本語メインだと資料不足かな?とりあえず、日本語で分かるとこまで作って、それ以降はその時に考えるしかないかなあ~。まあ、気長に少しづつ資料集めましょうかね(既に独り言になっているのが、いかにもブログ的)。ダ・ヴィンチ・コードに関連するしね!
マグダラのマリア―エロスとアガペーの聖女 中公新書(amazonリンク)
関連ブログ
マグダラのマリア 黄金伝説より直訳
「マグダラのマリア―マリア・ワルトルタの著作による」あかし書房
「図説 ロマネスクの教会堂」河出書房新社
「マグダラのマリア」 岡田温司 中公新書
「マグダラとヨハネのミステリー」三交社 感想1
「イエスのミステリー」バーバラ・シィーリング著 感想1
美の巨人たち ラ・トゥール『常夜灯のあるマグダラのマリア』
そうそう、 pecoさんもこの本をちょうど読まれているんですね。本の中で、えっ、こんなにあるのっていうぐらいたくさんの絵が紹介されてますよね。あんなにマグダラのマリアがあるとは、知りませんでした。そして、それが持つ意味が時代ごとに変化していくも興味深いですねぇ~。
もっともあまりに絵が多過ぎて、時々分からなくなってしまったりもするのですが・・・。でも、これ読むと絵を見る時に、違ってきますよね。
いろんなことを知れば知るほど、キリがなくなってしまいますね。楽しいですけど…♪
これからも宜しくお願いします。
この本の他にも「ゴシック建築とスコラ学」、「大聖堂のコスモロジー」、「アーサー王の死」、「聖アウスラ修道院の惨劇」、「魔女の鉄鎚」、「ゴシックとは何か」等積ん読状態です。(苦笑)
まるで僕のための、未読書リストのようです。(笑)
それにしても、こんなに購入する本が同じ方がいるとは思いませんでした。
購入した本も徐々に読んでいるんですが、減る速度以上に増えるほうが多いもんで…積読(涙)。外出すると必ずと言ってもいいほど、本屋や古書店に行ってしまい、ついつい買ってしまうし、ネットでamazon見てると、いつのまにか注文してるし・・・。
週末は図書館で借りた本に追われ…、どんな人生だろ??? お散歩増やして運動もしないとなあ~。貴船神社絡みのことも、関連する本でもまた読んだ時に書かせて頂きますね。すぐ忘れてしまうので、あまり期待せずに気長にお待ち下さいませ(御辞儀)。きっとたいしたもの書けないのですが・・・。
この本も結構、面白かったですね!
今さらですが、マグダラのマリアつながりでTBさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
この本はコンパクトな新書なのに、思ったより読み応えがありました。
出来たら、ページ数を倍以上に増やし、カラー図版の多いハードカバーで出版して欲しかったと思います。