
中世イギリスが舞台。大聖堂を建設しようとする人々が織り成す人生模様が精緻な時代考証の下で、実に劇的にして極めつけのリアル感を持って描かれています。
中世全般やゴシック建築、聖遺物に関する予備知識があると更に深く楽しめる作品ですが、本書の場合は人を描くという点で非常に巧みであり、劇的に人間を描いているのであまりその辺の歴史的背景を知らなくてもドラマとして十分に楽しめます。
ラストはハッピーエンドではあるんですが、途中の過程があまりにも実際にありそうなぐらい悲劇で惨めで残酷なんで、読んでいて結構悲しくて気が重くなったりする。そこが欠点。でも、どんなに理不尽な不幸に何度も何度も打ちのめされるちっぽけな人間の切なさを感じつつも、それを克服していってしまう生命力が凄いです。でも・・・生きていくのって大変なんだねぇ~。私はもっと楽しく&幸せに生きていきたいもんです。うん!
歴史小説とか、そういった点を抜きにしても普通の小説として、かなりの出来だと思います。悲劇が苦手でなければ、小説として十分に楽しめると思います。
また、小説を楽しみながら、中世の人々が置かれた社会情勢や社会慣習などなども知ることができていいかも?もっとも上・中・下の3巻はそれぞれが厚くてボリュームが多いので時間はかなりかかるのですが、読んでいてすぐ次を読みたくなるのは間違いない作品です。
いやあ~しかし本書にもサン・ドニ修道院長のシュジェールが出てきたのには驚きました。カンタベリー・ウォーターまで出てくるし。参った&参った!
やっぱりいろんなことを知れば知るほど、知識は相互に関連するんで面白いですね。勉強は本当に面白い。
大聖堂 (上)(amazonリンク)
大聖堂 (中)(amazonリンク)
大聖堂 (下)(amazonリンク)
中世に関する雑学が増えるのも魅力です。
管理人さんはサン・ドニ修道院長がこの本に
出てきたことに言及されていましたが、再読中の
『薔薇の名前』にザンクト・ガレンの修道院のことが
でてきて、私もにんまりしていたところです。
ザンクト・ガレンはすでに修道院としては機能は
していません。かつての建物は公立の学校に
なっています。
でも、残っているので様子が目に浮かぶのが楽しいです。
まだまだ遊べる世界みたいですねえ(笑)
ザンクト・ガレンの修道院、全然気付いてませんでした私。知れば知るほど、奥が本当に深いですね。ネットで改めて調べてみましたが、私も是非行ってみたくなりました(ニコニコ)。世界遺産にもなっているんですね。
しかし、益々読みたい本も増えて困ってしまいますね(嬉し涙)。そうそう、今日で今年も最後ですが良いお年をお迎え下さいませ!
良い年をお迎えください。
2007年もよろしくお願いします。
やっと手にいれたローリング・ストーンズの
’72年公演のブートにかかりきりで、アドソ君は
ちょっとお休みのOZでした。
ローリング・ストーンズですか、それはまたテンションが高くなりそうですね(笑顔)。